大阪城天守閣への石段42段、車いす担ぐサービス好評…エレベーター改修工事で
大阪屈指の観光名所・大阪城(大阪市中央区)で、天守閣へのエレベーターの改修工事に伴い、車いすの利用者を人力で担ぎ上げ、石段を上るサービスが行われている。訪日外国人客にも好評だという。(土谷武嗣)
1931年に再建された天守閣の前には42段の石段があり、車いすの利用者向けに97年にエレベーター1基が設置された。老朽化で改修工事をすることになり、天守閣を所有する大阪市が対策を検討。一帯は国特別史跡に指定されているため、スロープの設置が難しいことなどから、人力で担ぎ上げることにした。
大阪城の指定管理者が事業者を公募し、障害者支援に取り組むNPO法人「ちゅうぶ」(同市東住吉区)が選ばれた。委託費は40日間で約370万円。
工事が始まった11月5日から毎日、スタッフら6~4人が車いすを担ぎ上げ、バランスに注意しながら石段を数分で上り下りしている。利用は多い日で1日15人ほどになるといい、これまでに200人以上の登城を支援してきた。利用者の大半が訪日外国人客だという。
オーストラリアから家族で訪れたリチャード・グローバーさん(57)は「サポートがなければ、せっかく天守閣まで来たのに帰るところだった。おかげで、展示された武具や最上階からの景色を楽しむことができた」と喜んでいた。
NPO法人事務局長の石田義典さん(65)は「せっかくの大阪旅行で、『障害者だからあきらめないといけない』という悲しい思いをしてほしくない」と話した。
改修工事が終わる今月14日まで無料で実施している。予約不要で、石段下の受付で申し出る。天守閣内には、エレベーターが2基備えられている。