年商数億円の人材派遣業を辞め『ザ・ノンフィクション』で話題の結婚相談所社長「鯛の尾より鰯の頭になれ」と父に叩き込まれ
販売員時代に人脈がいっぱいできたので、それが私の強みになりました。独立するときある婦人服メーカーさんのお偉い方に、「今後御社の販売を代行したいので、まず一店舗預けてください」と言ったら、「いよいよですね。ずっと当社に販売員で来てほしいと誘っていたけれど、こういう形で関わってくれるならかえって良かった」という言葉をいただき、まず郊外の百貨店にあったお店を一店舗任せてもらうことになりました。25坪あるのに年間7500万円しか売れていない店舗の売り上げを、15%伸ばすことが目標でした。
私がまず店長で、モデルと女優の友だちひとりずつと店に行きました。彼女たちはアパレルに関しては素人です。「私たちは何をすればいいの?」と聞くので、モデルの子には「この服を着て、お店の中を背筋を伸ばしてカッコよく歩いてみて」と言い、女優の子には「自分がお店で一番売る販売員の役を演じて」と言って、販売してもらいました。 そうしたらすごい勢いで服が売れていきました。もともとの会社が運営していた前日の売り上げは1日25万円だったところ、私が引き継いだ翌日には100万円になった。4倍売ったからみなさん驚かれて、百貨店中のアパレル店員からお偉い方まで店に見に来ていましたね。
当初の契約では、年間7500万円の売り上げを8500万円にしてくれればいいから、という話でした。ところが最終的には1億1000万円の売り上げに。そこから「こちらの店もやってください、こちらの店も」と声がかかるようになり、どんどん広がっていきました。 ── 順調な滑り出しですね! 植草さん:気づいたら販売代行をする店舗は1年後には15店舗になっていました。販売代行なので、品揃えもすれば、販売員の教育、顧客管理に在庫管理もします。単なる派遣とは違って、毎月の棚卸しでロス(帳簿の在庫数と実際の在庫数の不一致)を出すと補填しなければいけません。ただ当社は優秀なスタッフを揃えていたので、ロス率はすごく低かったです。