「体にいい成分入ってます」とアピールする「健康食品」の、限りなくウソに近いロジック
「健康と食」への危機感が、これほどまでに高まったことがあるでしょうか。 「腸内フローラを良好にし、便通を改善する」ビフィズス菌配合サプリメント。「脂肪の吸収を抑え、排出を増加させる」トクホコーラ。「10分のジョギングと同じ消費カロリー効果がある」高濃度茶カテキン飲料。 【画像】「使ってもムダな人」が大多数!話題の健康食品の効果を検証してみた 国の制度によって「効能・効果」を大々的にアピールするトクホや機能性表示食品などの「保健機能食品」。いまや、私たちのまわりには、「健康食品」が溢れんばかりにあります。しかし最近、機能性表示食品の摂取によって、大きな健康被害が生じる事故が起こり、その安全性への信頼が揺らいでいます。 消費者庁は近く、専門家を集めて「機能性表示食品制度」のあり方を議論する検討会を開催する方針ですが、私たちが今、知っておくべきその実態とは? 氾濫する「健康関連食品」情報をたんねんな調査で読み解き、長年にわたって問題点を指摘してきた群馬大学名誉教授・高橋久仁子さんが、保健機能食品制度の“根拠”とされる論文を解読してわかった「驚きの実態」を克明にリポートした『「健康食品」ウソ・ホント』から、ぜひ知っておきたいトピックを厳選してお送りしましょう。 ※本記事は、『「健康食品」ウソ・ホント 「効能・効果」の科学的根拠を検証する』から、再編集・再構成の上、お届けします。
もてはやされる「機能性成分」
食品というものは本来、私たちにおいしさと栄養素を提供してくれるものであり、これが最も重要な役割です。しかし、昨今の世の中には、食品に対する「機能性幻想」が蔓延しています。 食品中に含まれる、栄養素ではないけれど、病気の予防や健康維持に有効ではないかと類推される物質が「機能性成分」としてもてはやされ、それを摂取すれば、容易に健康が得られるかのような“錯覚”です。 この機能性成分が配合され、健康に対するなんらかの「良い効果」を期待して経口的に摂取する商品を「健康食品」と総称しています。錠剤やカプセル等の商品を「サプリメント」とよびわける風潮もありますが、すべてまとめて「健康食品」です。 食の醍醐味の一つである味についてはほとんど論じられることのないそれらを「食品」の範疇(はんちゅう)に含めていいのかという単純な疑問はさておき、新聞・雑誌、インターネット、テレビ等を介して莫大な量の広告が流されています。 「健康食品」は、表向きはあくまでも「食品」なので、それを利用することでどのような「良いこと」がもたらされるのかについて明記することはできません。そこで、「行間を読ませる」手法が暗躍しています。 すなわち、決定的なことは何も書いていないのに、なんとなくそういう「効果」があるようだと消費者に印象づける宣伝手段です。「若々しくありたい方に○○を」と書いてあるだけなのに「○○で若々しくなれる」と思ってしまう、「△△を減量のおともに」とあれば「△△で減量できる」と解釈してしまうのは、まさに行間を読まされているからです。