主人公に「親近感があるし共感してる」『ストップモーション』監督インタビュー映像
ストップモーションと実写を融合して描く注目のホラー映画『ストップモーション』よりロバート・モーガン監督のインタビューが到着した。 【写真】『ストップモーション』場面写真 シッチェス・カタロニア国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、Rotten Tomatoesで満足度91%を獲得するなど、世界各国の映画祭で話題を集めた本作。監督を務めたロバート・モーガンは本作が長編監督デビュー作となる。 インタビューで監督は、本作のテーマと制作のきっかけについて、「これはストップモーションの若いアニメーターが自らの“創造性”を見つける物語だ。彼女は制作の過程で創造性の危険さや邪悪さを知る。最初にアイデアを得たのはかなり前のことで2つのことがきっかけだ。ストップモーションのアニメーターを扱った映画はなく題材として面白いと思った。それから僕が撮ったある短編映画で登場する人形たちに生命が宿る感覚を経験した。人形たちが僕の影響から離れ何をしたいか勝手に話し始めた。自分の創造物が意思を持って動きだすのは奇妙な感覚だよ。その2つがこの映画の始まりだ」と語る。 アシュリン・フランチオージが演じる主人公エラについては、「エラの創造性は母親に抑圧されてる。独裁的な母親の下で生きてきたエラがその抑圧から抜け出して、自分の創造性を見つけていく。エラは芸術に強い執着を持ち一途に取り組んでる。ストップモーションアニメーションの芸術にね。強迫的ともいえる力に突き動かされて彼女は極限の状況に追い込まれる。エラに対する共感なしに僕はこの映画を作れなかった。彼女とは強く結びついてる。僕の芸術や創造性の延長上に彼女がいるように感じるんだ。僕自身は映画の中のエラほど極端に走ることはないけど。親近感があるし共感してる」と主人公と同じく、監督自身も経験してきたクリエイターが抱える苦悩や創造性への考えを明かす。 またアシュリン・フランチオージの演技について、「アシュリンの演技は最高。すばらしい俳優だよ。優秀な俳優だとは知ってたが会話して確信に変わった。初対面で役柄について話した時点で彼女はすでに全てを理解していた。だから完璧だと思ったよ。彼女の演技で好きなのは思考が見えるところ。単にセリフを言うのではなく思考から発してるから、その歯車が回ってるのが見える。エラのキャラクターに深く入り込んでるからだよ。それこそこの映画に求めてたことだ。内面の動きを見られるんだ」と大絶賛。 さらに、初の長編映画監督を経験した感想については、「実写で実感したのはスケジュールの慌ただしさだ。毎日繰り返す1日にこなすべきシーンの量が多い。僕がアニメーションを撮ってたときは予算も少なく、自分のペースでやれた。だから今回はのペースには苦労した。でもペースを守ることでエネルギーが生まれる。ひたすらに没頭して深く考えずに済む。だからペースの速さは実は映画を助けてる。また長編映画を撮る機会があるとすれば次のことに気をつけたいと思う。複雑で緻密すぎる脚本を書かないことだ。本作では編集の過程で物語をシンプルにした。だから経験を生かすなら脚本の新しい原稿を書くよ。日程に合わせて単純化する。今回はスケジュールに合わせ毎日シーンを確認してシーンを単純化したことがあったからだ。物語の構成と重要な要素を把握しつつ時間の制約で断念した。そうした経験をしたから次回は物事をシンプルにしてから撮影するよう気をつけるよ」と今後の展望を明かした。 『ストップモーション』は1月17日(金)より新宿シネマカリテほか全国にて公開。
シネマカフェ シネマカフェ編集部