「えっ、スポーツカーだけじゃないの!?」 前輪駆動がほとんどのいま 意表をついた「実は後輪駆動」な現行車3選
スポーツカー以外でも後輪駆動が採用される理由
世界初の市販FCEV(燃料電池車)として登場した初代トヨタ「MIRAI」は前輪駆動でしたが、2020年に発売された2代目では後輪駆動へと変更されています。
2代目MIRAIはボディサイズを全長4975mm×全幅1885mm×全高1470mmへと大型化。水素タンクの数を増やして航続距離を延ばすとともに、1台でショーファードリブンとしてもドライバーズカーとしてもこなせる車両特性と高級車らしい風格が与えられて登場しました。 高級車で後輪駆動が多く採用されるのは、後輪荷重が増えることで車体後部の上下動が減少し良好な乗り心地が得やすいためです。大型のEVやFCEVであればリアモーター搭載によるスペース効率悪化などのデメリットは最小限に抑えられます。 なにより、2代目MIRAIに後輪駆動が採用されたのは、初代からのキャラクター変更が大きな理由と言えるでしょう。 複雑な機構のFCEVはどうしても高額になります。加えて、水素燃料電池の特徴である充電が不要な点はEVに勝る要素です。 FCEVとしての特別感を演出するために高級車として変貌を遂げたのであれば、後輪駆動が2代目MIRAIには間違いなくベストな駆動方式です。 意外な後輪駆動車の3台目はトヨタの1BOXライトバン「タウンエース」です。
ボディサイズは全長4065mm×全幅1665mm×1930mmとコンパクトでありながら、タウンエースはエンジンを運転席下に搭載した後輪駆動車です。 小型車は前輪駆動を採用するのが一般的ですが、商用車の場合はやや事情が異なります。前輪駆動車は荷室重量が増えるほど車体が後傾して前輪のタイヤグリップが減少するため、アクセルペダルを踏み込んだ際や、坂道などでフロントタイヤが空転しやすくなってしまいます。 こういった問題を解消するために、重量物を搭載する商用車では後輪駆動が採用されるのが通例です。 日産「NV200バネット」やルノー「カングー」など前輪駆動を採用する商用バンも存在しますが、後輪駆動を採用するタウンエースはそれだけ本格的な搬送車として機能することを意味します。 ※ ※ ※ 駆動方式自体に優劣はなく、それぞれ適した用途があります。後輪駆動車が少なくなっているとはいえ、完全になくなることはないでしょう。 とりわけEVは後輪駆動との親和性が高く、とくにモータードライブによる緻密な駆動制御は後輪駆動車のウィークポイントである滑りやすい路面での安定性確保に効果的です。現に、EVでは後輪駆動が多く採用されています。
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