スマホゲームにメタバース…「鉄道会社らしくない試み」が印象に残るJR西日本グループの総合展示会
今年12月、大阪で鉄道の将来を考えるイベントが行われた。それが5日と6日に開催された総合展示会「JR西日本グループ イノベーション&チャレンジ デイ2024」(主催・JR西日本)だ。 【マンガ】外国人ドライバーが岡山県の道路で「日本やばい」と驚愕したワケ 2日間取材し、2つのことが印象に残った。1つ目は「鉄道会社らしくない試み」、もう1つは「数字では表現できない価値を創出」である。今回は前編として、「鉄道会社らしくない試み」をクローズアップして紹介する。
おそろいのシャツを着たカジュアルな社員たち
会場では、まず入口にいた案内スタッフがおそろいのシャツを着ていることに驚いた。そのシャツは、白地に「west」のオリジナルロゴをプリントしたものだった。 その先の受付では、同じ服装のスタッフがおり、シャツと同じ柄のバッグ(内部はパンフレットとアンケート用紙)を配っていた。彼ら彼女らは、JR西日本グループの社員だった。 驚いた理由は、鉄道業界の特殊性にある。これまで筆者が取材してきた鉄道関連の講演会や展示会では、黒っぽいスーツを着るのが「当たり前」であり、それ以外の服装を受け付けにくい雰囲気があった。 それらにくらべて、この会場の雰囲気はユルい。そもそもスタッフの服装がカジュアル。従来の鉄道業界で見られた「おカタいイメージ」は、そこにはない。 「なぜJRの社員がおそろいのシャツを?」とJR西日本に聞くと、グループの一体感を表現するだけでなく、来場者がスタッフを識別しやすくするため、2022年から着用するようになったという。 同社は、自社と、自社が出資するベンチャー企業の取り組みのPRを目的として、約5年前に「JR WEST Innovations DAY」を開催。今回のイベントは、そこから数えて5回目にあたる。 会場はシャツでも過ごしやすい室温に保たれていた。ここは大きな複合施設(大阪駅前にあるグランフロント大阪)の地下2階であり、冬の寒い外気とは無縁の世界だった。 今回のイベントの来場者数は、のべ5,632名(2日間の合計)で、昨年の約1.3倍。来場者の内訳は、JR西日本グループや多様な企業、学生、自治体、個人事業主等と多岐にわたった。