五輪反対デモで選手村周辺が騒然!「即時中止を求める要請書」は手渡せず
オフィスビル前の“ミニ集会”では、この日、広島を訪問したバッハ会長の行動に抗議の意思を示した37団体の共同声明が読み上げられた。また2024年に開催されるパリ五輪に対して現地で起きている五輪反対運動とも連携していく方針も明らかにされた。東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会の前で行っている抗議活動は、4月から毎週金曜の夜に継続して行われているというが、その声は、この日の要請書同様に届いていないのが現実だろう。 デモ行進に参加した人が持っていた大きなフラッグにはこう書いてあった。 「コロナ禍で子どもの動員やめて!」「お金は民に!コロナ困窮対策に」 すでに来日している競技者や関係者の中から新型コロナの感染者が出ており、感染予防対策として定められている「プレーブック」が守られていない事項も次々と明らかになるなど、バッハ会長が「安心・安全」「リスクはない」とたかをくくる「バブル方式」の問題点は開幕前から表面化し始めた。 毎朝、もの凄い数の五輪関係者が、地下鉄大江戸線の勝どき駅から選手村及びその周辺の施設に向かっていく姿を見ると、感染拡大の恐怖と、着実に五輪が開幕に向かっている現状を感じざるを得ない。現実問題として今さら五輪の中止はあり得ない。 「無観客」という“ラストカード”を切ったとはいえ、「安心・安全」な大会を実現するために、より厳格な感染防止の姿勢で臨まなければ、日本国民の多くが、世界のトップアスリートたちが奏でる世界最高峰のスポーツの競演を“お祭り気分”で見る気にはなれないだろう。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)