銀座フェンディ店員が外国人客に「土下座謝罪」か SNS投稿が波紋、カスハラ専門弁護士「企業は断固たる姿勢を示せ」
●「女性の行動は名誉毀損罪や強要罪が成立する可能性も」
――投稿者の女性の行為は法的に問題ないのでしょうか 報道によると、投稿者の女性は、買い物中のトラブルをめぐって「店員らをひざまずかせて謝罪させる」「その様子を店員の名刺とともに撮影し、SNSにアップする」などの行動をとったそうです。 詳細が不明な部分があり、断定はできませんが、犯罪が成立する可能性があります。 「謝罪の様子を名刺とともにSNSにアップする」行動は、公然と事実を摘示して、従業員の名誉を毀損したとも言えますから、名誉毀損罪(刑法230条1項)が成立する可能性があります。 また、報道によると、女性は謝罪を強要していないと主張しているそうです。しかし、仮に女性が、何らかの脅迫行為に及んで「ひざまずいての謝罪」という義務のないことを店員にさせたと言える場合には強要罪(刑法223条1項)が成立する可能性があります。
●来年から始まる「カスハラ条例」にも違反する可能性
――女性の行為は、来年施行される東京都カスハラ防止条例にも違反すると考えられますか 東京都カスタマーハラスメント防止条例(カスハラ条例)は来年4月1日に施行となります。施行後に今回のようなトラブルが発生した場合、以下のように条例違反になる可能性があります。 カスハラ条例は、顧客、就業者、事業者のそれぞれにカスハラを防止する責務を定めたものです。 顧客に関しては「就業者に対する言動に必要な注意を払うよう努めなければならない」という責務が定められています。 女性による「SNSへのアップ」という行為も、「顧客と就業者とが対等の立場において相互に尊重する」という基本理念に照らせば、この責務に違反します。 また、仮にストールをはぎ取られたことが真実であったとしても、「ひざまずいての謝罪」という行動は過剰なものであったと思います。 女性は強要したわけではないと主張しているようですが、仮にそれが女性の言動から促されたものならば、これも顧客の責務に違反する可能性があります。