「住宅ローンの連帯保証人は、妻の私です」夫が自己破産...「借金地獄」を覚悟した妻に起きたまさかの「奇跡」とは
2010年に貸金業法が改正され、利息や借入上限金額の見直しが図られて以来、無茶な借金をする人が減り、自己破産件数は緩やかな減少傾向にある。 この記事の他の画像を見る 危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は「それでも破産する人は後を絶たない」と言う。 「近頃、中小企業の倒産や住宅ローンを返済できなくなる人の話をよく耳にする背景には、長引く不況や不動産も含めたあらゆる物価高・人件費高騰などがあります。明日どうなるかはわからない…と多くの方が薄氷を踏む思いで住宅ローンを返済し、事業運営を行っていることでしょう」 今回は、会社経営者の夫が自己破産し、住み慣れた自宅を昨年離れたばかりだという女性から、「住宅ローン契約」に関する貴重な経験談を聞いた。 「身近な人の破産を経験するのは2度目でした。18歳のとき、通っていた私立女子高の付属大への進学が決まっていましたが、父の破産で断念した経験があります」 こう話すのは下條さつきさん(仮名)。現在、中学2年生の双子を育てる44歳の個人事業主だ。世間知らずの「お嬢様」だったさつきさんは、親の会社の倒産になすすべもなく、大学進学を断念し、流されるようにして地下街の喫茶店でアルバイトを始めた。 「そのうち、早朝バイトも探してがむしゃらに働きました。それまでの生活とは、天と地ほどの差がありましたね」 さつきさんは努力の人だ。その後も懸命に働いて学費を貯め、通信制の大学を卒業し、実務に役立つ複数の資格も取得した。 「夫はそんな私の過去を全部知っているので、結婚するときに『本当に、絶対に、必ず幸せにする』と言ってくれました。夫も苦労人です。両親が離婚して、アル中の父親と2人暮らし。中学の時から学校の許可を得て新聞配達のバイトをしていたそうです」 夫はホテルや有名レストランなどで修行を積んだ料理人だった。独立し、最初に出した小さな店で掃除・洗い場スタッフとしてバイトしていたのがさつきさんだ。昼間の仕事のほか、バイトにも精を出すさつきさんの姿に「似たもの同士」を感じたという夫。