【解説】成人男女の98%が「ビタミンD不足」 多く含む食材は?…「日焼け止め」が生成の妨げにも
■干しシイタケや乾燥キクラゲの“植物性由来のビタミンD”…調査ではほぼ検出されず
厚生労働省は、成人ならば、1日の摂取量の目安は8.5マイクログラムとしています。サンマだと、1匹がだいたい正味100グラムなので、1匹食べればとれます。ただ、干しシイタケやしらす干しなど、1つの食材で100グラムもとるのは無理がある場合もあるので、いろいろと組み合わせてとりましょう。 この調査を行った東京慈恵会医科大学の越智小枝教授によると、実はこんなにビタミンDが豊富な干しシイタケや乾燥キクラゲですが、これらからとれる植物性由来のビタミンDは、今回の調査ではほぼ検出されず、魚や日光由来の動物由来のビタミンDがほとんどだったといいます。 ただ、「動物由来でも植物由来でもビタミンDの作用は変わらない」ということで、焼き魚を食べたり、干しシイタケは煮物にしたり、乾燥キクラゲは炒め物やあえ物に入れるなど、食事の中に上手に取り入れるのが良いということです。
■「吐き気」「不整脈」「尿結石」…過剰摂取に注意
ただ、ビタミンDは過剰摂取に注意が必要で、とりすぎると「ビタミンD中毒」となり、血液中のカルシウム濃度が上がり「吐き気」などのほか、「不整脈」「腎結石」「尿結石」を引き起こす可能性もあるといわれています。ビタミンDの上限量は、成人で1日100マイクログラムなので、とりすぎには注意して適切な量を心がけましょう。
また、越智教授は「昔は和食中心の食生活で自然ととれていたが、今は食事が欧米化していたり、都市部の生活では日光を十分浴びるのが難しかったりすることもある。サプリメントを活用するのも効果的」としています。
また、日焼け止めを塗ると、実はビタミンDを生成できないということで、その目安もみていきます。国立環境研究所が、1日に必要なビタミンDを作る日光浴の時間の目安を出しています。それによると、例えば横浜で今の時期、6月上旬・中旬ですと、半袖の場合は5分、長袖の場合は10分以上、皮膚に直接、日光を浴びればいいといいます。そして、30分当たると日焼けしてしまうということです。これは正午ごろの目安で、時間帯や地域が変われば多少、この目安も変わります。日光を浴びる時間帯は、日焼け止めを塗らずに、その後に塗って出掛けるなど、工夫することが大事かもしれません。