国家安全保障をブロックチェーンとデジタル資産は強化できるか──CIA、FBI、シークレットサービス出身者が語る
デジタルに追跡できる
規制の確実性があれば、デジタル資産とブロックチェーン技術の国家安全保障上における利点は飛躍的に増大する。これらの利点には、敵対的な影響に対抗するための継続的な取り組みの強化、国際貿易における要件のより効果的な監視、制裁の執行などが挙げられる。具体的には、ブロックチェーンとトークン化プロセスの使用により、サプライチェーンの追跡可能性が大幅に向上し、重要なリソースが悪意のある影響を受けないようにすることができる。この機能は、経済安全保障だけでなく、技術と防衛能力を外国の手から保護するためにも不可欠だ。 暗号資産の取引は、その設計上、公開された台帳に不変の形で記録される。これにより、従来の金融取引では存在しない識別と追跡の機会が捜査官や諜報機関にもたらされる。これは、資産の移転に直接関与する個人にとどまらず、サプライチェーン、マネーミュール、これらの関連会社、インフラサービスプロバイダー、マネーロンダラー、法定通貨と暗号資産の両替を含む犯罪ネットワーク全体における混乱を整理し、法的措置を促進させる。 よくある誤解は、ブロックチェーンは本質的に匿名性を保証するというものだ。取引は仮名にできるものの、完全に匿名というわけではない。取引は公開された台帳に記録され、それを分析することでパターンや個人または団体への繋がりを明らかにすることができる。幸いなことに、ブロックチェーンの透明性により、法執行機関は従来の金融犯罪では利用できなかった不正取引の流れを特定するための追跡機能とトレース機能を手に入れることができる。ほとんど痕跡を残さない現金取引とは異なり、ブロックチェーン取引ではネットワーク全体の資産を追跡できる。取引パターンを分析し、ブロックチェーンのフォレンジック分析を採ることで、当局は従来の現金を用いた方法では不可能な手で不正行為を追跡できる。この機能により、金融犯罪と闘い、悪質なプレイヤーに責任を負わせる手立てに変化が起こり始めている。 最後に、デジタル資産は凍結や差し押さえに関しても現金に対して分がある。2023年だけでも、盗難、ハッキング、マネーロンダリングに関連した数十億ドル相当の暗号資産が、法の適正な手続きに従ってブロックまたは凍結された。多くの暗号資産発行者は、米国司法省、米国シークレットサービス、FBI など、数百の法執行機関や規制機関と連携して政府当局をサポートしている。 技術発展の最前線に立ち続け、強固な国家安全保障を維持する責任が米国にはある。ブロックチェーンとデジタル資産の明確な市場構造と規制枠組みの構築に向けて手を携えることで、指導者たちは今後数十年にわたって米国民と国内外の経済を守る歩みを後押しすることになるだろう。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Shutterstock|原文:Opportunities for Blockchains and Digital Assets to Support and Enhance U.S. National Security
CoinDesk Japan 編集部