世界で最も注目される中国EV・SDV市場の最新動向ーリブ・コンサル×36Kr共同セミナーリポート
中国SDV領域におけるビジネスと今後の展望
聯友科技(Lan‐You Technology) カーエレクトロニクス研究開発センター ディレクター 黄 健平 氏 TCU(T-Box)で中国トップシェアを誇るLan‐Youの黄氏は、従来の自動車と現代のSDV化する自動車の違いを並べた。従来型の自動車は常時接続されていない独立した製品として機能しており、それぞれ機械システムや電子システムに依存するため、外部連携や他車両との相互作用といったデータの共有はされていなかった。そして販売後は少なくとも10年間、部品供給を確保することが求められていた。 一方、SDV時代の自動車は電動化とスマート化を前提に進化する。、自動運転やコネクテッド化が進んでおり、ほとんどの自動車の機能はソフトウェアで実現されるようになっていると黄氏は指摘する。さらに、インターネット経由でのOTA更新できるため、従来のハードウェア中心のビジネスモデルは持続不可能とも考えている。これに伴い、ハードウェア中心の考え方も変えていく必要がある。 従来の新車開発サイクルは1年以上と長期スパンだったが、現在の中国では「アジャイル開発」が主流となり、連続的な開発や迅速な改善が常に行われるという。テスト方法も、従来の実環境から仮想環境へと移行し、大規模テストや条件変更が容易になる。 黄氏によれば、SDVと電動化による脱炭素の実現、年間事故ゼロ件、渋滞を低減する未来社会、といった世界が目指す大きな目標達成にも期待が高まっているという。今後ソフトウェア自体が製品として商用化されることで、ソフトウェアのアップグレードが収益源となるなど、持続可能なビジネスモデルの構築が可能となるだろう。 最後に、リブ・コンサルティングの森本 達也氏からは、中国の技術に対する安全保障上の懸念などが話題になることはあるものの、ビジネスの観点で注目すべきポイントが多数あることも事実だと指摘する。SDVだけでなく、バッテリー回収・再利用や、EV社会を前提とした新領域でのビジネスなど、マクロとミクロの両面から注目していくことが必要だと結論づけた。 (文:自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子、編集:36Kr Japan編集部)