世界で最も注目される中国EV・SDV市場の最新動向ーリブ・コンサル×36Kr共同セミナーリポート
最先端テック企業が見る中国EV市場における勝ち筋
アリババクラウド(Alibaba Cloud Intelligence International) シニアソリューションアーキテクト 泉 浩宣 氏 泉氏は、中国における自動運転機能の実装について紹介した。北京では完全無人の自動運転タクシー(ロボタクシー)の実証実験が2024年6月から始まっている。BYDやNIOなど有名メーカーもL3/L4の自動運転の公道テストを開始し、データ収集の環境も整備する。日本では、例えば千葉県の柏市で産学共同のプロジェクトでL4を目指すとしているが、実際はL2の実証実験が始まったばかりで、L4まではまだ長い道のりだろう。 アリババクラウドはスマートシティ技術を活用し、様々なセンサーのデータを車両にフィードバックすることで、さらに進んだ自動運転を実現できるのではないかと考えている。 また、中国と比べて日本で自動運転が普及しづらい理由について、泉氏は土壌と法整備が大きく関係していると述べた。中国では、EV普及と自動運転の実現に向けて、政府が全面的にバックアップしている。北京市内には広大な実験フィールドが整備され、各社に提供されている。メルセデス、BMW、トヨタ、ホンダといったグローバル企業も中国に出向いて自動運転技術に関するデータを集めている。さらに中国では今年6月からBYDやNIOなど国内9メーカーにL3/L4の自動運転公道テストが許可されており、実証実験が急速に進むだろう。 自動車業界が取り組むスマートコックピット開発も、すべてのメーカーにとって不可欠な取り組みとなった。その一例がカーアシスタント機能だ。例えば、運転中のビジネスパーソンが会議資料の準備を依頼すると、車載システムがオフィスデータを活用しレポートを自動で作成する。「こんなことを車内でやる必要があるのか?」と思ってしまうところまで、今の中国の自動車は進化している。 さらに、車載システムは周囲の雰囲気を察知し、たとえばムーディーな音楽が流れると、車内の照明がロマンチックな夕暮れのような色合いに変化するなど、感性に訴える演出も可能になる。「この天気で何をすべきですか?」といった質問に対し、自然な会話形式で応答するコンシェルジュ的なサービスも提供する。これら多彩な機能がシームレスに統合されている点が、最新のスマートコックピット技術の特徴だと泉氏が事例を交えて説明した。