「退職代行サービス」できることは“伝言”だけ? トラブル続出の退職時、弁護士が警鐘を鳴らす意外な盲点
近年、ニュースなどでも一躍話題になっている「退職代行サービス」。4月の新卒入社時には、「聞いていた給与と違う」「望んでいた配属先ではない」などの理由で利用者が激増し、GW明けにも増加。SNS上では「日本の会社のブラック事情に光があたった」「最近の若者は…」と賛否両論に。一方で、脚光を浴びる退職代行についても、「このサービスは法律的に問題はないのか」との疑問も上がっている。専門家である弁護士はこれをどう見ているのか。アディーレ法律事務所・島田さくら弁護士に聞いた。 【お役立ち一覧】退職代行は3パターン、「最後の給料は払えない」と言われたらどこへ相談する⁉ ■民間の「退職代行サービス」ができることは「単なる『伝言』」、もしも『交渉』してしまったら… 一般的に「退職代行サービス」は、退職を望む本人に代わって勤務先に退職の意思を伝えることを指す。原則としては、退職する2週間前に会社へ退職の旨を伝える必要があり、その代行を行う。また、弁護士や労働組合が対応する場合、即日退職や有休消化後の退職などを求めて交渉することも可能である。 ――そんな「退職代行サービス」なのですが、民間の業者も数多くあるようです。弁護士から見て合法なのでしょうか? 「端的に言うと、単なる『伝言』のみであれば、民間業者が行っても違法ではありません。本人が辞めることを決めていて、退職の意思を伝えるだけという場合、あるいは『退職に関する書類をください』『置いてある私物を送ってください』と、先方に伝えるだけであれば問題はありません。一方で、会社側が拒否した場合やもめてしまった場合、これを解決するための『交渉』をすることはできません。弁護士資格を持たない人が、弁護士業務を行って報酬を得る行為は、『非弁行為』として弁護士法第72条により禁止されており、違法となるわけです。非弁行為については、2年以下の懲役または300万円以下の罰金が定められています」 ――退職代行サービスの利用者は、そこまで考えずに依頼してしまう人も多いと思います。もし、利用した民間業者が非弁行為を行っていた場合、利用者が罰を受けることは? 「それはないと思いますので、安心してください」