今シーズン最後の紅葉は「逆光」でキレイに撮る
ただし、すべての状況で「逆光」での撮影が正しいというわけではありません。たとえば紅葉と周囲の風景や青空を合わせて作品に仕上げたいケースでは、「逆光」では青空が白くなってしまったり、周囲の風景が影になって暗くなってしまうというカメラ自体の性能限界があります。大事なのは、自分の中で「どんな作品に仕上げたいのか」というイメージを持っておき、それに近づけるために撮影する現場で考えるという作業をするということなのです。
せっかく紅葉の撮影に出かけても、曇ってしまって太陽の光が望めないことがあります。そんな時は、デジタルカメラの「ホワイトバランス」機能を利用して、写真の色を補正しましょう。カメラ任せの「オートホワイトバランス」は、白を白として写す目的で自動的に補正してくれるのですが、すべてのシーンで対応できるわけではありません。特に曇りの日の野外では、予想以上に青みがかった写真になりがちです。この場合、ホワイトバランスを「太陽光」モードに設定すれば、だいたいのシーンで対応可能です。さらに、天気や空の明るさによっては「曇り」(カメラによっては「曇天」)モードを活用すれば、より紅葉の赤を際立たせることができますので活用してみましょう。
いかがだったでしょうか。漫然と紅葉の木々を撮影するだけでは、撮る方も見る方も飽きてしまいますよね。撮影時に少し工夫をして、視点をいろいろと変えてみるとバリエーション豊かな作品集に仕上げることができます。関東以西では12月10日前後まで紅葉が楽しめますので、週末は今シーズン最後の紅葉を撮影しに小旅行してみませんか? (写真:大浦タケシ、取材・文:水澤 敬) 大浦タケシ(おおうら・たけし)宮崎県都城市生まれ。日本大学藝術学部写真学科卒業。雑誌カメラマン、デザイン企画会社を経て、フォトグラファーとして独立。以後、カメラ誌や一般誌、ウェブ媒体を中心に多方面で活動中。公益財団法人 日本写真家協会(JPS)会員。