二番煎じはダメだが…異色編集者が教える「売れる本の法則」が目から鱗だった!
書店が姿を消し続け、物価高も相まって紙の本は冬の時代を迎えた。そんななか、『裏のハローワーク』など異色のベストセラーを連発する、編集者で作家の草下シンヤ氏が、「こういう本が売れる」を説くビジネス書が登場。予算はなくとも、アイディアありきでヒット本を生み出す手法とは?本稿は、草下シンヤ・大泉りか『ヒットを生む技術 小規模出版社の編集者が"大当たり“を連発できる理由』(鉄人社)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 売れる可能性のある本は 3種類に分類される 草下氏が手掛けているのは、一般向けのノンフィクションや実用書、教養系の書籍からコミックスまでと幅広い。例えば辞典や特定の学問分野における文献など、売れずとも存在すること自体に価値がある書籍もあるが、〈商品〉として本を作っているのであれば、やはり売れなくては仕方がない。では売れる本とはどういう本なのか。草下氏はこう分析する。 本が売れなくなってきて、紙の本がどんどんキツくなっていくなかで、売れる可能性のある本は3種類に分類されます。 ひとつは著者やキャラクターにファンがついているグッズとしての本。「その人の話が聞きたい」「その人のことを知りたい」と、人の興味をそそるものも、ここに入るかもしれません。 もうひとつは実用的であることにひたすらに特化した本。具体的にはハウツーや料理のレシピ本なんかがここに当てはまります。 そして最後は、読んで「めちゃくちゃ面白い!」と思える本。例えば特定の業界の裏話だったり、ゴシップだったりといった好奇心に働きかけるものです。 昔は「なんとなく面白い」とか「なんとなく役に立ちそう」くらいの感じであっても、みな本を買っていました。
が、うってかわって今は娯楽の種類も多いし、景気もよくなくて財布の紐が固いから、お金を払って買う価値があるかないかを、しっかりと吟味されてしまう。だから、この3つのどれかに振ってないと売れないんです。 なので、まず著者ありきの本、「あの人に書いてほしい」という書き手にあわせた企画を立てる場合には、僕は、その人の持っている情報がこの3つのうちのどこに当てはまるのかを考えます。 ● 『土俵裏』というキャッチーな タイトルを思いついた 貴闘力さんを著者に立てた『大相撲土俵裏』(2022年9月)という本を具体例にあげます。僕と、危険地帯ジャーナリストの丸山ゴンザレスとでやっている『丸山ゴンザレスの裏社会ジャーニー』というYouTubeチャンネルがあるんですが、ゲストとして貴闘力さんに出演してもらったことがあったんです。 収録で貴闘力さんは角界の裏事情について、かなりのギリギリまでしゃべってくれて面白かったので、本の企画を考えてみることにしました。 まず、売れ行きを考えた場合に、自伝はちょっと厳しいかなと判断しました。かといって、実用書に寄せた力士のなり方のハウツー本も、ちょっと違いますよね。さすがにマニアックすぎる。ならば知的好奇心をくすぐるコンテンツにするならどうしようかと考えて、大相撲の八百長や裏話を語ってもらうのがいいんじゃないかと。