二番煎じはダメだが…異色編集者が教える「売れる本の法則」が目から鱗だった!
これから作ろうと思った類書の数字を見て、全然売れてない場合は、編集が悪いのか、著者が悪いのか、販売が悪いのか。売れない原因をいろいろ分析して、どういうふうに切り口を変えれば、ワンチャン売れる可能性があるかどうかを考えて、企画そのもののブラッシュアップをはかります。 ● 「これの裏社会版を作ったら面白い」と 思いついて生まれたヒット本 後発であることを活かして類書を研究することで、企画の精度を高める。思考を停止させずに練り上げれば、売れる本にするチャンスはある。 いま現在、すでにあるものをそのまま模倣したところで、ただの二番煎じ。パクリ企画の本なんて作っても、まったく面白くない。けれど、バン!と売れているものの裏側や、実は見えていない魅力の部分にフォーカスを当てることで、大元の企画に満足していない人が、こっちの本にも興味を持ってくれる可能性もあります。パクリというと言い方が悪いですが、言い換えると〈角度を変える〉ということです。 ヒット本を参考に企画を立てるとしても、切り口を変え、オリジナルな作品を生み出すのが草下氏のやり方だ。そのいい例のひとつが草下氏が手掛けた『裏のハローワーク』である。
『裏のハローワーク』(2004年5月 著:草下シンヤ)は、マグロ漁船や大麻栽培、治験バイト、夜逃げ屋、偽造クリエイターなど、世の中に存在する危険で裏のある仕事に密着して、働き方から収入、そのリスクまでを紹介した本です。 企画を思いついたきっかけは、当時『13歳のハローワーク』(2003年11月刊:幻冬舎 著:村上龍)がすごく売れていたのを見て「これを裏社会で作ったら面白いな、裏バージョンでやれないかな」と思いついたんです。 『13歳のハローワーク』と『裏のハローワーク』では、そもそも読者層がまったく違います。だからこそありだし、読みたいと思う人はいると考えました。発想の元は『13歳のハローワーク』ですが、まったく違う企画にブラッシュアップして、まったく違う読者層にアプローチできたので、この本の存在意義は確かにあると思います。 『裏のハローワーク』は、著者も僕です。長年、裏社会の取材をしていて内情がわかっていたので、原稿も自分で書きました。20万部は売れましたし、続編の『裏のハローワーク 交渉・実践編』(2005年5月)、『裏のハローワーク 特別編集』(2007年12月)などシリーズ化もできた。文庫版、コンビニ廉価版なんかをあわせると40万部くらいはいっています。