投資銀行、来年は収入増加か トランプ氏返り咲きでM&A活発化
Sinead Cruise Lawrence White [ロンドン 6日 ロイター] - 調査会社コーリション・グリニッチによると、来年の世界の投資銀行の収入は、トランプ前米大統領の返り咲きを受けて合併・買収(M&A)や証券発行が活発化し、前年比5.7%増の3160億ドルに達する可能性がある。 世界の投資銀行の収入が3000億ドルを超えたのは過去20年で5回のみ。近年は新型コロナウイルス流行、インフレ、世界的な政治不安が圧迫要因となっていた。 コーリション・グリニッチによると、来年のM&A手数料収入は約276億ドルと、少なくとも過去20年で2番目の高水準になる見通し。 金融関係者は、企業寄りのトランプ氏の返り咲きで米経済がさらに繁栄し、事業拡大を目指す欧州企業による国境を越えたM&Aや投資が増えるのではないかと指摘している。 バンク・オブ・アメリカのEMEA法人金融部門責任者、リチャード・キング氏は「政治の透明性とマクロの安定がM&Aの原動力になる。来年は多くの累積需要が顕在化するだろう」とし、ヘルスケア、ハイテク、エネルギーなどさまざなセクターでプライベートエクイティ(PE)や事業会社によるM&Aが期待できるとの見方を示した。 企業や政府の起債も急増する見通しで、コーリション・グリニッチによると、来年の債券資本市場(DCM)部門の手数料収入は過去最高の490億ドルに達する可能性がある。 投資銀行の最大の収入源である証券トレーディングの収入は来年2200億ドルと、2022年以来の高水準になると予想されている。 バークレイズのグローバルバンキング担当共同責任者、テイラー・ライト氏は「地政学的リスクが不確定要素だが、それを除けば、多くの要素から見て今後1─2年は投資銀行にとって非常に良い年になるはずだ」と述べた。 収入拡大に伴い、バンカーの給与も増加するとみられるが、巨額の賞与が支払われた21年の水準には当面、届かないとみられている。 コンサルティング会社ジョンソン・アソシエーツは先月、不動産投資を除くほぼ全ての部門でバンカーの給与が増えるとの見通しを示した。 例年、第1・四半期は銀行が人員削減を検討することが多いが、ヘッドハンティング会社によると、トランプ氏の返り咲きを受けて、一部の銀行は来年第1・四半期の増員を検討している。