「キン肉マン」とコラボした芋焼酎、ラベルは漫画で登場する「砂地獄」を指宿名物「砂むし温泉」にアレンジ
焼酎ファンの裾野を広げようと、鹿児島県内の酒造会社はあの手この手で工夫を凝らしている。その一つが、漫画やアニメ、特撮などとのコラボ商品だ。 【写真】神酒造が販売するウルトラ怪獣などとのコラボ焼酎
指宿酒造(指宿市)は昨年12月、漫画「キン肉マン」とコラボしたオリジナル限定ラベルの芋焼酎「利右衛門」の販売を始めた。ライセンス商品の企画や販売を手がける「ヒキダシ」(東京)の社長、小池直行さん(50)が観光で指宿市を訪れた際、豊かな自然や住民の温かさに魅力を感じ、同酒造に話を持ちかけて実現した。
ラベルでは、漫画で登場する砂地獄の場面を指宿観光の名物「砂むし温泉」にアレンジ。もう一つは、作中でキャラクターが「ネッシーをみただーっ!!」と叫ぶ一コマを、同市の池田湖で1970年代に目撃情報が相次いだ巨大生物「イッシー」に作りかえた。
小池さんは「一目見ただけでどこで造られた焼酎か分かるようなデザインにした」と狙いを明かす。キン肉マンを見て育ったという同酒造の常務、上迫則治さん(56)は「この焼酎が指宿へ足を運ぶきっかけになればうれしい」と期待を寄せる。
焼酎造りに欠かせない酵母やこうじについて、一部の商品で宇宙を旅したものを培養して使っているのが、神酒造(出水市)だ。もとになる酵母やこうじは2011年5~6月、スペースシャトル・エンデバー号や国際宇宙ステーションで16日間にわたって保管された。
「ウルトラマン」の敵を題材に
この特徴を生かそうと、特撮ヒーロー「ウルトラマン」の敵である「宇宙恐竜ゼットン」や「宇宙忍者バルタン星人」などを題材にした芋焼酎を14年から販売。19年からは東宝の人気怪獣「ゴジラ」や「キングギドラ」をラベルに描いた商品も製造している。
原料にもこだわる。バルタン星人の焼酎には、分身するなど怪しい雰囲気をイメージしやすい紫色にちなんで紫芋を、「どくろ怪獣レッドキング」には名前とのつながりで紅芋を、それぞれ使っている。企画に携わった同社の堂脇真由美さんは「味だけではなく、モチーフにした怪獣を知っている人にはより楽しんでもらえる商品を目指した」と振り返る。