伊豆半島ジオパークで世界加盟現地審査、イルカ追い込み漁問題への言及は?
世界ジオパークの認定をユネスコ(国際連合教育科学文化機関)に申請している伊豆半島ジオパークの現地審査が7月25日から27日まで行われた。伊豆半島ジオパークの世界ジオパーク認定の現地審査は2015年に続き2回目。前回はイルカ追い込み漁問題などを理由に認定は見送られた経緯がある。関係者によると今回の現地審査では、審査員から「ドルフィン」という言葉はでなかったという。
今回、伊豆半島で現地審査を行ったのは、ユネスコ世界ジオパーク評議会メンバーでマレーシアのケバングサン大学教授(地質学、環境地球科学)のイブラヒモ・コモ―氏とルーマニアのブカレスト大学専任講師(地質学)のアレクサンドル・アンドラサヌ氏の2人。 伊豆半島ジオパーク推進協議会(菊地豊会長)は、2014年12月に世界ジオパークネットワーク(GNN)に認定申請を行ったが、地質遺産の国際的な価値に対する評価とイルカ追い込み漁に関する問題を理由に認定は見送られた経緯がある。その後、世界ジオパークはユネスコの正式事業となり、伊豆半島ジオパーク推進協議会は昨年11月、ユネスコに世界ネットワーク認定を再申請した。 現地審査では、前回と同様、2人の審査員が伊豆の自然や地質、文化、生活などを専門家や地元関係者などの説明を受けながら視察。伊豆半島ジオパーク推進協議会によると、前回の結果を踏まえて今回は伊豆半島の地質の学術的価値を強調することにウエートを置き、最終日の27日には、前回審査の行程にはなかった函南町の丹那断層公園を訪問した。
同公園には、昭和5(1930)年に起きた北伊豆地震によって生じた断層のズレが保存されており、断層のズレを観察することができる施設も設置されている。2人の審査員は説明を聞きながら、時折、メモを取ったり、写真を撮るなどしながら丹那断層を視察した。 3日間の現地審査の行程終了後、熱海市内のホテルで審査員より伊豆半島ジオパーク推進協に講評が非公開で行われた。前回、指摘されたイルカ追い込み漁の問題について伊豆半島ジオパーク推進協議会は、「過去に行われていたものであり、世界ジオパークネットワークの審査基準の対象となるものではない」との姿勢で、申請書類にもイルカ追い込み漁に関する記述はなく、現地審査でも対象にはしていない。 伊豆半島ジオパーク推進協議会関係者によると、審査員の講評において「ドルフィンという言葉は出なかった」とのことで、前回審査において世界ジオパークネットワークが指摘したイルカ追い込み漁は、現状では問題にはなっていない状況だ 今後は、今回の現地審査をもとに、9月に中国で開催されるユネスコ世界ジオパーク評議会(UGGC)にて検討され、順調に進めば来春のユネスコ執行委員会で認定される予定という。現地審査後、記者会見した伊豆半島ジオパーク推進協議会の会長を務める菊地豊・伊豆市長は「(イルカ追い込み漁の問題が)判断材料になっているのかどうかわからない。今後、なんらかの要望が出る可能性もある。まだまだ、予断を許さない」などと話した。