続発する「M&Aトラブル」の最新実態。船井電機は破産、朝日出版社では取締役全員解任!
また、われわれにもご遺族が暮らす会社名義の邸宅を約1億円で奥さまに売却する契約への同意を求めてきましたが、ご本人の意思確認ができなかったため、応じることはできませんでした。 戸田側との話の中でも、先方が事業に言及してくることはほぼなく、自社ビルの土地の測量図や根抵当権(ねていとうけん/金融機関からの融資の際に不動産を担保にする設定)の解除を求められたため、このM&Aは出版事業の継続ではなく、会社の土地建物の売却が目的ではないかと不信感を抱くようになりました」 すると9月11日、不動産の売買契約に応じないことを理由に小川氏ら経営陣6人全員を解任。遺族ふたりと池田力氏という男性ひとりが新取締役に就任した。同氏は「一般社団法人 バイオマス発電協会」の理事という経歴が確認できるのみ。出版業に関するキャリアは不明だ。 「しかも、この池田氏は一度も出社せず、面会を求めても入院中や体調不良と伝えられました。 さらに、池田氏の業務代理人を名乗る方が金融取引に必要な会社の実印や銀行通帳などの引き渡しを求めてくるなど、会社の存続に関わる意思決定が非常に不透明だったため、やむなく私たち旧経営陣が業務を継続しました。 また、経営陣解任に関する株主総会議事録および同意書は法律上本店に置かれていなければなりませんが、その所在も内容も社内の誰も確認できていない。異常な状態です」 ■謎の新会社が同じ住所に設立! 10月21日、小川氏ら旧経営陣は朝日出版社のホームページにM&Aを巡る混乱について報告する文章を掲載。同社の労働組合もブログサービスのnoteで新役員に団体交渉に応じるよう要求した。 この内幕を翌日の朝日新聞が詳しく報じ、朝日出版社のM&Aを巡る騒動は世間に広く知られた。また、同月31日に『週刊文春 電子版』が買い手である戸田氏に対面取材した模様を掲載。 戸田氏はこのような事態になっているのは「心外」であるとして、「旧経営陣も買収に乗り気だった」「従業員を解雇したり、刊行物を廃刊にしたりするわけがありません」と語った。