タワマンで迷子、自分の部屋に帰れない…年金月25万円の69歳父が母と肩を寄せ合い暮らす「子供部屋」に唖然【FPの助言】
認知症になる前提で対策
Aさんには株式などの有価証券の資産はあったのに、なぜ夫婦の老後資金が枯渇してしまう事態になってしまったのでしょうか。 要因としてまず挙げられるのは、資産のほとんどを不動産と有価証券が占めていたにも関わらず、認知機能低下に備えた対策がなにも取られていなかった点です。Aさんは店舗のある証券会社で口座を持っていました。有価証券の売買は本人が行うこと、とされていますから、本人が売却と出金を指示できなければ、資産は引き出すことができなくなります。もし認知機能の低下に備えるために対策をとるのであれば、銀行や証券会社で代理人登録を行ったり、任意後見制度や家族信託を利用したりといった方法が考えられます。 また、もうひとつの要因として、妻自身の年金と資産の少なさも挙げられるでしょう。もし妻自身の年金や資産が幾分かあれば、ほそぼそとでも独力で生活を維持していくことは可能だったかもしれません。 Aさんの妻によると、自身の親など近しい親族には認知症になった人がこれまでいなかったため、対策など考えてもいなかったとのことです。しかし、いつなにが起こるかは誰にもわかりません。高齢期にも運用を継続していくためにはライフプランと照らし合わせながらの適切な対策が求められます。 内田 英子 FPオフィスツクル 代表
内田 英子
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