終盤で「牙が抜けた」ききょう ファーストサマーウイカが振り返る「光る君へ」の清少納言
平安時代に「源氏物語」を執筆した紫式部の一代記を描くNHK大河ドラマ「光る君へ」。「枕草子」の作者として知られる清少納言こと、ききょうを演じるのがファーストサマーウイカだ。物語はいよいよ終盤に突入。主従関係を超えた絆で結ばれていた定子(高畑充希)が亡くなり、友人だったまひろ(紫式部/吉高由里子)との関係も大きく変化した。「一生忘れない」と語る初出演の大河ドラマと向き合った1年を振り返る。 ■少ない時間でも印象づける ファーストサマーウイカが演じるききょうは、序盤の第6回(2月11日放送)から登場してきた。物語が後半に入ってからは、わずかな出演時間でも登場するたびに大きなインパクトを残している。 「1、2秒の出演でもキャラクターを印象づけるというのは、大河ドラマの役者に課せられた使命だと思っています。(演技が)濃すぎると言う人もいますけど」と笑う。 第36回(9月22日放送)では、その真骨頂を見せた。一条天皇(塩野瑛久)の心をとらえた物語の作者がまひろだったと知るシーンだ。 「久しぶりの登場で(出演時間は)1分あったかなっていうくらい。そこで定子がいなくなってからの彼女の数年間を表現する必要がありました」。その上で、まひろに対して「喜怒哀楽全て」という複雑な感情を抱く芝居が求められた。ワンシーンでどれだけ多くのことを語れるか。「衣装さんを含めて、皆さんと試行錯誤しながらやっていました」と振り返る。 ■「闇落ち」で失われた親近感 文学者で機知に富んだききょうは、あけすけな性格だが、一方で物事を冷静に見つめて風刺するような人物だった。それが、定子の死を境に変わっていく。 自身と考え方が似ていて以前は「他人とは思えない」ほど親近感を抱いていたが、「後半のききょうは、ネットでは『闇落ち』なんて言われていますね。最初の親近感からはちょっとずつグラデーションしていきました」と明かす。 「私だったら、ここまでの態度を取らないかもな…」親近感を失ったききょうとも向き合った。「定子はききょうにとっての『光る君』だった。私はまだ34歳で『光る君』を失っていない。だから(自分の気持ちと)乖離していくのかなと考えていました」