米小売りターゲットが年末商戦で苦戦、動画広告強化も効果限定的
Siddharth Cavale [ニューヨーク 24日 ロイター] - 競争が近年で最も激しいとされる今年の米年末商戦で、小売り大手ターゲットが苦戦を強いられている。顧客を呼び込もうと動画共有アプリのTikTok(ティックトック)や動画配信サービス向けの広告を強化したが効果は限定的で、ライバルの最大手ウォルマートに水をあけられており、投資家の間からは売上高の減少傾向を覆すのは今年も難しいとの声が出ている。 国内で1950店舗余りを展開し、主に生活必需品以外の商品を扱うターゲットは売上高が落ち込み、市場シェアを失っている。株価は年初来で7%下落し、72%高のウォルマートと対照的な値動きだ。 サイズモア・キャピタル・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、チャールズ・サイズモア氏は「ターゲットの不振は数年前から続いており、すぐに解決できる問題ではない。年末までにギフトカードを使うように働きかける広告を終盤になって急激に増やしており、これが効果を発揮する可能性もあるが、必ずしもそういう展開になるとは限らない」と懐疑的な見方を示した。 小売業者の多くは、生活必需品以外の購入を控える消費者の動きに対応するため、支出を抑えている。米投資銀行D・A・ダビッドソンのアナリストチームによると、ターゲットの今年の広告支出の純増加率は0.11%にとどまる見込み。 ターゲットの広報担当者は「第4・四半期は年間で最も売り上げが大きい時期に当たり、それが当社の販促支出に反映している」と述べたが、詳細なコメントは控えた。 市場調査会社センサー・タワーのオンライン広告支出データによると、ターゲットのオンライン広告支出は10月から12月中旬にかけて前年比8%増加し、うちティックトック向けは70%増えた。一方、ウォルマートは同期間中にオンライン広告支出が30%増加し、ティックトック向けは200%増えた。 センサー・タワーのアナリストによると、ターゲットが広告を緩やかながら増やし始めたのは、前年より1週間遅れて会員向け大幅割引サービス「サークルウィーク」を開始した10月に入ってからだった。 しかし11月下旬にターゲットは、価格重視の消費者がウォルマートなど競合店で低価格商品を購入しているとして、年末商戦の既存店の売上高と利益は予想を下回るとの見通しを示した。クレジットカードやデビットカードの支出状況を測定するデータからも、ターゲットは11月下旬の感謝祭翌日の「ブラックフライデー」や、それに続くオンラインセール「サイバーマンデー」の売り上げがそれほど好調ではなかったことが分かる。 しかしターゲットは感謝祭からサイバーマンデーまでの「サイバーウィークエンド」後の2週間にデジタル広告を強化し、感謝祭前の2週間と比較して支出を12%増やした。またセンサー・タワーのデータによると、「ピーコック」や「Hulu(フールー)」といった動画配信サービスへの広告出稿も増やし、おもちゃやビデオゲームを最大50%、キッチン用品を最大40%値引きした。 これに対してウォルマートは年末商戦の早い時期にデジタル広告費を集中させる戦略を取った。 2つの調査会社のクレジットカードとデビットカードの利用データによると、ターゲットは12月初旬の売り上げがわずかな増加にとどまった。またプレイサー・エーアイのデータによると、サイバーマンデー翌週の客足は前年同期比で6.8%減少した。 ターゲットは数四半期にわたる、より長期的な戦略の転換が必要だと投資家は指摘している。先週バーンスタインのアナリストは、米国民は価格に敏感になっており、ターゲットはウォルマートやコストコと競うために値下げを実施する必要があるとの見方を示した。