黒木華、結婚に前向きになれない心の揺れ「共感できた」 映画「アイミタガイ」に主演
作家・中條ていさんの連作短編集を元にした映画「アイミタガイ」が11月1日から公開されます。親友を失った女性を中心に、思いがけない出会いが連鎖していく様子を描いた群像劇です。本作で、かけがえのない存在だった友を失い、家庭を持つことにも前向きになれず、立ち止まってしまう主人公・梓を演じるのは、俳優の黒木華さん(34)。亡くなった親友にメッセージを送り続けるという役どころを演じた黒木さんに、作品を通して考えたことや友人、親子関係について思うことなどをお聞きしました。 【画像】撮り下ろし写真(黒木華)
役は、自分だけで決めていかない
――梓を演じるにあたって、どのような役作りをされたのでしょうか。 黒木華さん(以下、黒木): 自分と年齢が近いこともあり、なるべく等身大でいることは意識していました。親友が事故で亡くなったということは少し特殊かもしれないですが、梓はごく普通の、同年代の女性が悩むようなことを悩んでいる女性なので、きっと色々な方が共感できる役じゃないかなと思います。 梓自身、つらいことも色々と経験してきましたが、暗い性格というわけではないんです。みんなそういうものを隠して抱えながら生きていて、人と関わることで成長して、変わっていくというお話なので、梓の中で抱えているものを自分の中で忘れないように演じていました。 ――役を理解する上で心がけていたことは? 黒木: 自分だけで決めていかないということを大切にしています。現場で草野(翔吾)監督が思う「梓」というものもありますし、共演者の方たちとの掛け合いやセリフのやり取りの中で次第にできていくものでもあるので、私一人の考えだけで「こういう人物だ」と決めていかないようにしていました。
「今は仕事を頑張りたい」という気持ち、よく分かる
――両親が不仲になっていく姿を見て、自分の結婚にはなかなか踏み出せず、恋人からのプロポーズに躊躇する場面もありました。 黒木: 最初に梓の生い立ちが書かれたキャラクターノートをいただきました。そこに両親のことも書かれていたので、彼女が結婚に対して前向きになれない気持ちも分かるなと思いました。多分梓は結婚にあまり向いていないと自身で思っていて、きっと中村(蒼)さん演じる恋人の澄人に甘えている部分もあると思うんです。 それに「今は仕事を頑張りたい」という気持ちは私もよく分かるので、梓の心の揺れは共感しやすかったですし、撮影中もそれを感じながら演じていました。 ――結婚観も含めて、梓の心の機微をどのように感じていましたか? 黒木: 今回は割と順撮りで撮っていただいたので、物語が進んでいく中で、草野監督や梓の親友・叶海を演じた(藤間)爽子ちゃん、澄人役の中村さんとやっていく自然な流れのうねりの中で梓の変化ができていった気がします。特に中村さんが演じる澄人がすごく素直で、梓の心の支えになってくれるような人だったので、頑なだった梓の心が解けていくのも分かるなと思いました。