光の制御速度10倍以上…TDKが部品開発、スマートグラスで4K映像を実現する仕組み
TDKは9日、メガネ型情報端末のスマートグラスに載せて光を制御する部品を開発したと発表した。拡張現実(AR)や仮想現実(VR)で映し出される映像の解像度を高めることができる。主に光通信分野で使われるニオブ酸リチウムを材料に用いたことで、光のオンとオフを切り替える速度を従来比10倍以上にする。高速制御により4K以上の映像解像度を実現できる。2025年からのサンプル品提供を計画し、3―5年後の量産開始を目指す。 【写真】メガネ型情報端末のスマートグラスに載せて光を制御する部品 開発品は赤・緑・青の光の三原色を出力するモジュールに組み込んで使う。光を制御するのに、従来品はレーザー素子を電流で制御していたため、制御速度は最大1ギガヘルツ(ギガは10億)だった。一方、ニオブ酸リチウムを用いることで電極に電圧をかけられるようになり、10ギガヘルツ以上の速度で光を制御できるようにした。 また、電圧を利用して制御することで消費電力を従来比4分の1に抑えられる見込み。さらに、スパッタリングという成膜方式を用いて部品をつくるため、ウエハーの大口径化が可能となり、部品の量産をしやすくした。 QDレーザ(川崎市川崎区)が開発した映像装置とTDKの開発品を連携して実証したところ、映像の表示に成功した。映像装置は目の網膜に直接、投影するもの。視力に関係なく映像を見られるため、幅広い層への普及が見込まれる。 TDKの開発品はスマートグラスへの搭載を想定するほか、データセンター(DC)のサーバーにも活用できる。同社は「生成AIや通信で(開発品を)使うためには、他の部品も必要になる」と、幅広い展開に向け他社との連携も模索する。