〈職場のストレス対策〉「してもらえることが当たり前」と思っている人への対応で、“絶対にやってはいけない”致命的なこと【アンガーマネジメント協会代表理事が解説】
伝えるかどうかの基準は「後悔しないかどうか」
相手に何も言わないことで、デメリットも生じます。怒りや不満が積もりに積もって爆発することで「もう関わりたくない!」と一気に疎遠になったり、関係自体が終わってしまって、取り返しがつかないことになることもあるかもしれません。 気になることを伝えるかどうかは、今後のことを考えて決めましょう。アンガーマネジメントでは、「怒りで後悔しないこと」がひとつの基準になっています。決めるときは、どちらの行動をとったほうが後悔しないかという基準で決めるのがおすすめです。 伝えたことで、相手の行動が変わるかどうかはわかりません。「相手がどう受けとめるかわからないけれど、腹を割って言ったほうがいい。そのほうが後悔がない」と思うのであれば、伝えたほうがいいですね。たとえば、「◯◯のとき『ありがとう』のひと言がほしかったんだ」と声をかけてみてください。もしも、あとで「やっぱり言わないほうがよかったな」と思うようなら、言わないという選択もあります。
家族の場合:無理に伝えないほうが得策なケースも
プライベートの話にも触れておきましょう。家族の場合、肉親であれば言いやすいかもしれませんが、義理の間柄では言いづらいことも多いのではないでしょうか。 たとえば義理の両親や義理のきょうだいに「こういうときには感謝の言葉がほしいんです」と言って、今後の人間関係をギクシャクさせてしまう可能性があるのなら、いちいち言わないという選択をしてもいいでしょう。 実のきょうだい関係が良好で、パートナーへのお願いごとをしても「うちの妻(夫)にはそういうところがあって、ごめんね。気が利かなくて」と言ってもらえるようなら、伝えることも手段のひとつです。でも、「いちいち、俺(わたし)のパートナーにうるさいなぁ。細かすぎるよ。そんなこといちいち言わないでよ」ときょうだいゲンカになる可能性もあるなら、無理に伝えないほうが得策です。
職場の場合:立場によって対応を変えていい
そもそも、感謝やお礼をすることは、まわりの人の助けを借りるためには必要なことです。たとえば、仕事上で何かアドバイスをしてもらったら、「ありがとうございます、おかげでこうできました」と報告するのが筋です。 もし、後輩や部下に感謝が足りないと感じる人がいるなら、このコミュニケーションの必要性から教える必要があるかもしれません。目上の人に対しては、「感謝が足りませんよね」とは言えません。こういったときには「こういうときに感謝の言葉を言えない人なんだな」と割り切ってしまいましょう。