「時期尚早」と言われた長距離輸送用EVトラックも量産間近! メルセデス・ベンツ「eアクトロス600」が欧州周遊へ!
様々なルートで経験を積む
eアクトロス600欧州試験ツアー2024は、様々なルートにおける経験を積むことを目的としている。特に、異なる地形と気候帯がエネルギー消費に与える影響について注視する予定で、こうして得られた知見は興味を持っている顧客とも共有する。 社内で新開発した電動アクスルは効率が高く、600kWhを超えるバッテリー容量(207kWhのバッテリーパック3つで総容量621kWh)と共に、eアクトロス600の1充電当たりの航続距離は、フル積載の4×2トラクタで500kmを達成した。 今回のツアーにおいてバッテリーの充電は公共の充電ステーションのみを使用し、欧州では長距離輸送の電動化が既に可能になったことを証明することも目的の一つだ。 その旅路は、ドイツを出発し、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、チェコ、オーストリア、スロバキア、ハンガリー、クロアチア、スロベニア、イタリア、モナコ、フランス、スペイン、ポルトガル、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクを周遊する。
eアクトロス600について
メルセデス・ベンツが同社の顧客における実運用を調査したところ、欧州の長距離輸送の60%は一度の走行距離が500kmより短かった。これは、運送会社の駐車場や荷積み・荷卸し先で充電できれば、(公共インフラが無くとも)eアクトロス600によって長距離輸送の6割が実現可能であることを意味している。 それ以外のケース(残りの4割)で長距離輸送を電動化するためには、公共の充電インフラを継続して拡大することが不可欠となる。 eアクトロス600はCCS方式の400kW急速充電に対応し、準備ができ次第MCS(メガワット充電システム)方式にも対応する予定となっている。2024年4月にはヴェルト・アム・ラインの試験センターで、eアクトロス600プロトタイプを用いて初めて1MW(メガワット)での充電に成功している。 顧客はMCS対応を注文時に指定でき、同技術がメーカーによって標準化され利用可能となれば、eアクトロス600の初期モデルにもレトロフィット(後付け)可能となる予定だ。 MCSにより1MW付近の電力で充電すると、大容量のバッテリーを搭載するeアクトロス600であっても20-80%充電が約30分となる。もちろん、これだけの大電力を扱うので相応の安全性の確保は大前提で、欧州メーカーを中心に開発が進められている。 長距離輸送用のeアクトロス600は、外観としては空力性能に優れた形状と明確なラインによるデザインを特徴としている。運送会社にとって最も重要な収益性に関しては、長距離輸送という重要なセグメントで、ほとんどのディーゼル車を上回る新水準をもたらすという。 メルセデス・ベンツ・トラックは、BEVによる長距離輸送というコンセプトにおいて、車両と共にコンサルティング、充電インフラ、サービスを含む全体的なソリューションを顧客に提供することを中心に据えている。
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