フランスの美食観光プロジェクトを現地取材した、リヨンから「美しい村々」まで、食文化でめぐる旅
美食の街リヨンからモンテリマールへ
今回はリヨンを起点にローヌ川沿いにタン・レルミタージュ、ヴァランス、ニョンス、グリニャン、モンテリマールへ南下するルートを取った。 そもそも「美食の渓谷」一帯はローヌ川、ソーヌ川がなす肥沃な土壌に、古代ローマ時代以来から主要街道として人物・物資が往来し、食文化が育まれた地だ。20世紀、フランスのバカンス文化の発展でパリと地中海方面を結ぶレジャー街道となり、ミシュランのガイドブックや星付きシェフの文化もこの地域を起点として整備されていった。 「美食の都」リヨンは、とくにルネッサンス期に多くのイタリア金融家が移住したことから、作り手と味わう側の双方の食文化が培われてきた。20世紀には伝説的シェフ、ポール・ボキューズが登場し、「美食の街」の知名度向上に大いに貢献する。その歴史を踏まえ、リヨンではレストラン「ポール・ボキューズ」への訪問、市内のボキューズ系列ブラッスリー「Le Nord」「L’Ouest」などでの食事、彼の名を冠した「ポール・ボキューズ市場」訪問の人気が高い。 市内での「美食の渓谷」プログラムで視察への参加者から評判が高かったのが「レ・トック・デュ・フロマージュ」でのチーズテイスティングだ。フランス各地で選りすぐってきた多種多様なチーズについてクイズ形式で学び、主催者のチーズに対する情熱とこだわりを耳にするひと時となった。 ワインのテイスティングで訪れたのはタン・レルミタージュの「メゾン・シャポティエール」。200年余の歴史を持つワイナリーで、自社のブドウ畑の見学やワインと食事との組み合わせなど、初心者も楽しめる。大型グループへの対応も可能だ。系列のビストロ「マリウス」で地域の食材を使用したオーガニック料理とともに同社のワインが味わうことができる。 フランス観光開発機構が長年プロモーションをする「フランスの美しい村」のひとつ、グリニャン村のセラー「モンティーヌ」では、12月から3月上旬にトリュフ狩りの体験ができる。 ガイドとトリュフ犬とともに実際にキノコの探索をおこなうほか、トリュフを使った食前酒や、ワインとともに料理を味わうことができる。