<夢舞台へ―大垣日大>センバツ チーム紹介/中 野手編 体重増で長打力向上 /岐阜
「足腰を鍛えることは、打撃の基本動作にもつながる」「足腰や体を鍛えてから、打撃練習をしても遅くない――」。阪口慶三監督(77)はこのような考え方を念頭に置いたチーム作りをしてきた。 神戸町にある野球部のグラウンドで練習する際は、ノック練習により多くの時間を割いている。アウト数や走者の想定を「1死一塁」「1死満塁」などと何度も変えながら、選手たちに試合のさまざまな場面を想像させ、体を使わせる。今冬は大雪に見舞われる日が多く、グラウンドが使えない時もあった。室内練習でも、ゴロの捕球練習に地道に取り組んできた。 昨秋の東海大会準決勝で敗れた対日大三島(静岡)戦では、暴投やエラーなど守備のミスが失点につながる場面が目立った。右翼手の河村岳竜(たける)(2年)は、相手安打の捕球後、本塁に悪送球し、相手三走の本塁生還を許した記憶を、今も脳裏にとどめている。「低めに送球するように」と、課題を意識しながら、自身の守備力を高めている。 ◇ ◇ 一方、打撃面強化にむけた取り組みも本格化。秋の県大会から東海大会にかけて、主要選手9人中5人は打率3割を超えている。更に長打力をつけるため、年明けからは「3~5キロ体重を増やす」ことをチーム全員の目標に設定した。 食べる量を増やし、筋肉量を増やすことでスイングスピードが上がり、長打につながるという。選手たちは朝昼晩の3食の他にも、練習の合間にご飯を食べるよう工夫し、1人あたり4~6キロ体重が増加した。秋から4キロ増量した米津煌太(1年)は「下半身が太くなり、軸がぶれないようになった」。同じく4キロ増の伊藤成大(2年)は「打球の飛距離が伸びた」。選手たちは、練習の成果を実感している。 大垣市の金生山にある30段の階段をダッシュしたり、2人1組でおんぶしながら駆け上がったりする練習で、下半身の筋力強化にも余念がない。ティー打撃や素振り練習では、試合で使っている長さ84センチ、重さ900グラムの金属製バットに比べて長さ1メートル、重さ1キロと長くて重い竹製のバットを使い、スイングの力強さも磨いてきた。袴田好彦(1年)は「竹のバットの後に普通のバットを振ると軽く感じ、バットがパンと前に出てくるようになる」と手応えを口にする。 ノックと並んで大垣日大の「伝統」とされているバント練習だが、昨秋の東海大会ではチーム全体でスクイズが1本も決まらなかった。今はこうした反省を乗り越えるように、マシンを使ってスクイズや送りバントをする練習もほぼ毎日こなし、阪口監督が掲げる「可能な限り前の塁へ進む」ことを目指している。 4番の西脇昂暉主将(2年)は「粘り強い攻撃をしたい」と意気込み、阪口監督は「体重が増えたことで、昨年以上に迫力が出てきた。(相手外野手を越える打球を連発するような)空中戦をやりたい」と自信をのぞかせる。【熊谷佐和子】