「また文句か…」1日中クレームをくらいまくった男が最後に聞いた「意外な一言」
人はなぜ、他人のあくびを見ただけであくびをしてしまうのか。なぜ、スポーツ観戦で思わず自分の体が動いてしまうのか。相手の感情が「伝染」したり、無意識のうちに誰かの動作を真似てしまったり──。そんな日常の不思議な現象の源には、実は脳内の特別な「鏡」が関係している。 【一覧】入ると“損”する「私立大学」ランキング…コスパ最悪だった意外な名門大学 行動科学的な視点から、人間関係における「トゲ」をなくして他者と生きる術に迫った『あいては人か 話が通じないときワニかもしれません』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
「PK」を見ると脚の筋肉が勝手に反応する
私たちはみんな、ある種の無線ネットワークに接続している。そのネットワークをとおして、互いにファイルを送り合っている。他者と接しているときに、見たり、聞いたり、感じたりしたことはすべて、まっすぐ自分の脳に届けられる。それが、脳内にそっくり映しだされる。 この無線ネットワークから自分を切り離すことはできないし、切り離したくてもできない。このネットワークは常にオンの状態で、私たちの日々の生活にさまざまな影響を与えている。 たとえば、あなたが金槌で釘を打っているとしよう。そのとき、うっかり自分の親指を打ってしまった。それを見た私は、まるで自分の親指が打たれたように顔をしかめる。そして、あなたが感じた一撃を自分の親指に感じる。 このとき、私の脳では、あなたの体験が映しだされている。これは「ミラーニューロン」、つまり鏡のような働きをする神経細胞が引き起こしている。 たとえば、廊下で同僚とすれ違ったとき、その同僚が微笑んできたとする。そのとき、こちらも、たとえ直前に嫌なことを考えていても、微笑み返してしまうのは、ミラーニューロンがそうさせるからだ。 私たちは無意識に相手を真似ている。誰かがあくびをすると自分もあくびをする。誰かと会話しているときは、知らず知らず相手の動作を真似てしまう。相手が頭をかいたり腕を組んだりしたら、自分も頭をかいたり腕を組んだりする。 相手が何かを感じれば、自分も同じように感じる。赤ちゃんに笑いかければ、赤ちゃんもにっこり笑い返す。小さな子どもに食事を与える人は、スプーンを子どもの口に近づけながら自分も大きく口を開ける。 ソファでサッカーの試合を観ていれば、ペナルティキックをするイブラヒモビッチが思いきりボールを蹴るとき、自分も一緒に蹴っているかのように脚に力が入る。 私たちはみんな、この鏡を持って歩きまわりながら、互いに相手を真似ている。