中国人民元、1ドル=7.3元超える下落-当局は一段安も容認か
(ブルームバーグ): 中国人民元は3日の本土市場でドルに対し売られ、2023年後半以来の1ドル=7.3元を超える元安となった。
24年終盤から中国が守り続けてきた水準を突破する元安進行で、中国経済低迷の中で人民元が一段と値下がりする余地が生じている。
中国人民銀行(中央銀行)が節目となる水準の防衛を見送ったことは、景気低迷の影響を通貨安で緩和しようとする動きを示唆しているかもしれない。対ドルでの元の水準を維持してきた結果、元は主要な貿易相手国の通貨に対して2022年以来の高値まで値上がりしており、中国の輸出競争力を損なう恐れがある。
この日の取引では、中国の10年国債利回りが初めて1.6%を割り込んだ。米国債を大きく下回る中国国債の利回り水準も人民元相場の重しとなっている。
オンショア人民元は一時0.3%安の7.3190元となったが、その後は下げ幅を縮小した。
人民銀は人民元を支えるため、毎営業日発表する中心レートをこのところ1ドル=7.2元よりも元高方向に設定してきた。オンショア人民元の対ドル許容変動幅は中心レートから上下それぞれ2%。
BNYのシニアAPAC市場ストラテジスト、ウィー・クーンチョン氏は「7.3元という水準は、ドル高と中国国債の利回り低下が続く限り、ある意味で避けられない」と述べ、「ドル・人民元のリスクは依然としてドル高の方向だ」との見方を示した。
この先、中国経済のファンダメンタルズは一段の弱さを示唆している。リスク志向は非常に低く、主要株価指数は昨年9月以来の低水準に落ち込んだ。ソブリン債利回りは記録的な低さだ。また、トランプ次期米大統領は中国の輸出品を対象に関税を賦課する方針を示している。
BNPパリバのストラテジストは、人民元が2025年末までに7.45元まで下落すると予測する。JPモルガン・チェースによれば、4-6月(第2四半期)にオフショア人民元は7.5元まで値下がりする可能性がある。