未成熟な社会への警笛-藤井浩人美濃加茂市長×中谷一馬衆院議員
無辜を罰するなかれ
【藤井】 司法制度の改革についていえば、証拠の全面開示や人質司法の廃止はもちろんですが、大前提として、「10人の真犯人を逃すとも1人の無辜を罰するなかれ」という刑事司法の大原則をまずきちんと徹底してもらいたい。検察は「1人くらい冤罪者がいても10の犯罪が防げるのであれば社会としてはそちらの方がいい」と考えているように感じます。基本的な人権に関する制度改革が圧倒的に足りないと感じます。また、私たち国民もそのことを考える必要があると思います。 そしてさきほど指摘したように、警察は事実解明や人権尊重より組織を維持し、支えることを重視している。中谷さんは、いまの時代に合わせ、総合的な評価指標を定めるべきだと言われましたが、国会において、政治家がしっかりとガバナンスを利かせ、評価軸を変えることで彼らの正義と社会の正義が一致するように努力してもらいたいですね。 実際のところ、司法制度や法務省にメスを入れても、票や政治資金にはつながらないので、国会議員は誰も動かない。これは問題だと思います。一方、市民も三権分立のうち行政や立法は盛んにチェックし、批判するけれど、司法に対するチェックは行わない。こうした状況を根本から変えていかねばならないと思います。 【中谷】 いまいろいろ話してみて、あらためて冤罪の闇というのは本当に深いと感じました。当事者になった人間として、冤罪で困った人たちに寄り添いたいので、一緒により良い政策・制度を作っていけたらと思います。 【藤井】 国会議員にも、罪を着せられた経験のある人が結構いるのではないでしょうか。誰もが陥れられる可能性がありますが、とくに政治家なんて狙い撃ちされやすい。ぜひ、当事者意識を持って動いてもらいたいな、と思います。 【中谷】 「この制度をこんなふうに改善した方がいい」というのがあれば、是非、どんどん言ってください。私からもしっかりと国会へ提案をし続けて参ります。