チャラそうと言われても――人口ゼロになった町に移住し復興の種をまく青年に迫る #知り続ける
そんな学生時代の大川さんに、福島で活動するチャンスが訪れる。一般社団法人パイオニズムが企画した起業家育成プロジェクト「Next Action→Social Academia PROJECT (通称NA→SAプロジェクト)」への参加だった。 「プロジェクトへ参加し、メンターにお世話になる中で、将来的には小高で起業し福島の復興に携わりたいと考えるようになりました。僕自身、サラリーマン生活は性に合わないなと感じていたので、新卒で入社した都内の会社を辞めることにさほど抵抗はありませんでした。現在は地元と旅行者を繋ぐ事業を行っている会社で働きながら、独立に向けて動いています。現在の主な仕事は、小高区役所から委託を受けている移住促進ツアーのガイドや、SNS等を用いた小高のPR事業。それに加えて、今年は移住者や地域住民が交流できるコミュニティハウスの準備も進めています」(大川さん)
ビッグマウスと言われても――『福島を変革する男』を名乗るワケ
自身が運営するSNSでは『福島を変革する男』を名乗って活動している大川さん。彼のSNSには、「#今日もOK」の合言葉とともに、ポップな投稿が散見される。しかし、名乗りだした当初は、周囲から奇異の目で見られたこともあったという。 「当時関わっていた友人たちからは、『行き過ぎだろ』と言われたこともあったし、離れていく人もいました。でも、僕としては、同世代や若い世代に福島の魅力を知ってもらい愛着を持ってほしい、そのためには僕自身にも親近感を持ってもらいたいというねらいがあるんです」(大川さん) 大川さんの移住を支援した小高出身の根本李安奈さん(株式会社小高ワーカーズベース社員)が、出会った当初の大川さんの印象を振り返る。 「正直なところ、最初は目立ちたいから手段を選ばずにやっているような印象を持ちました。大きなことを言うので、本当かな?と思う部分もありましたね。でも、実際の彼を見ていると、周囲を巻き込み、いろんな人に自分のアイデアをどんどん提案していく。仮にそれが実現しなくても、自分のやりたいことを伝え、さらに行動できることはすごいことだと思います」