IT企業はなぜスポーツ界に進出するのか? FC東京のケースから見えるもの
Jリーグでは今シーズンから、ユニフォームの鎖骨部分への企業広告掲載が解禁されている。2月下旬の開幕時点で、J3までを含めた全54のJクラブの約半分にあたる26チームが、いわゆる「鎖骨スポンサー」契約を結んだ企業のロゴマークを掲出している。 J1では7チームが契約。たとえばライバル勢の追随を許さない、通算19個の国内三大タイトルを獲得している鹿島アントラーズは、日本最大級のスマホ向けフリマアプリを運営している株式会社メルカリ(本社・東京都港区)と契約。左右の鎖骨部分に『mercari』の文字が躍っている。 そして、首都東京をホームタウンとするFC東京は、右の鎖骨部分に『XFLAG』を入れた。IT大手の株式会社ミクシィ(本社・東京都渋谷区)が展開する事業のなかで、世界中で4000万ダウンロードの大ヒットを記録した『モンスターストライク』に代表されるスマホゲームや、映像コンテンツなどを統括しているのがXFLAGスタジオとなる。 ミクシィとスポーツ界のつながりで言えば、同じくXFLAGスタジオが昨年7月に、プロバスケットボールBリーグの千葉ジェッツふなばしとパートナーシップ契約を締結。ユニフォームの背中、ちょうど背番号の上の部分に『XFLAG』が入っている。 IT企業のスポーツ界への進出が目立つ。 野球界では、楽天、DeNAがプロ球団を保有しているが、IT企業のブランド力、社会的な信用力を高めるために公共性の高いスポーツ球団を持つことが大きな効果を発揮してきた。DeNAに至っては、横浜DeNAの運営をメインにしたスポーツ事業を経営の中心に据えるシフトチェンジさえ進めている。 ライブドア時代にプロ野球経営に乗り出そうとしていた堀江貴文氏も、その効果の大きさと共に「まだまだプロのスポーツ経営に乗り出したいと考えているIT企業は多い」と語っていたことがある。 FC東京とのスポンサー料は年間1億5000万円(推定)で、複数年契約とされる。バスケットボールに続いて、サッカーにも進出した狙いはどこにあるのか。XFLAGスタジオの総監督を務めるミクシィの木村こうき取締役は、本社を置いている東京都とのつながりを理由にあげる。 「私たちは東京都渋谷区に根を生やして約20年間活動してきた会社なので、東京のチームを応援したい気持ちがあるのは間違いありません。いろいろな方を夢中にさせるエンターテインメントを提供するブランドなので、ファン・サポーターの皆さまが盛り上がるような施策を考えていきたい。 金銭面でのスポンサードという形も当然ありますけれども、エンターテインメントを作っていくうえでの撮影チームや編集チーム、あるいはインターネットでいう技術陣を数多く抱えているので、そういった人材をFC東京さんにご活用していただけたら嬉しく思います」