IT企業はなぜスポーツ界に進出するのか? FC東京のケースから見えるもの
ミクシィとの新規スポンサー契約が発表されたのは1月11日。直後の同13日に調布市内で開催された今シーズンの新体制発表会で、FC東京の大金直樹代表取締役社長はミクシィとの提携について、会場を埋めたソシオの前でこんな言葉を発している。 「ともにミクシィさんと歩んでいきたい。いろいろな記事が出ておりますが、そういったことも含めて進んでいきたいと思っています」 いろいろな記事とは、昨夏から一部メディアで報じられてきた、東京23区内にサッカー専用スタジアムを建設する構想だ。候補地のひとつとして、ミクシィ本社がある渋谷区の都立代々木公園内の南、球技場や織田フィールドと呼ばれる陸上競技場があるエリアが挙がっている。 Jリーグ側が理想として掲げる町中スタジアムであり、東京メトロ千代田線の代々木公園駅やJR原宿駅から徒歩で約10分と絶好のアクセスにある。実現すれば非常に大きなインパクトを与えるプロジェクトに、ともに関わっていきたいと木村取締役も思いをシンクロさせる。 「首都・東京に日本を代表するスタジアムがある未来と、そういうものがない未来。自分の人生を賭けた仕事としてどちらがいいかと考えたときに、確率が少しでもあるのであれば、そういったものを目指したい気持ちが強いということをお伝えできたらと思います。個人的な夢という部分が大きく、私が言っているだけというところもありますけど、国として2025年までにスポーツビジネス市場を15兆円以上の規模に伸ばしていこうというなかで、口に出していかなければ夢とはかなうものではないと思っているので」 FC東京がホームとしている調布市の味の素スタジアムは、京王線飛田給駅から徒歩約5分とアクセスは決して悪くない。しかし、陸上トラックがあることでファンやサポーターとの一体感に欠ける課題を抱え、かねてから首都クラブとして都心にサッカー専用スタジアムを持つ可能性を模索してきた。 ミクシィ側としても、求人広告事業やソーシャル・ネットワーキングサイト『mixi』を運営するメディア事業が収益の柱だった創業時や2000年代から、急激に拡大しているゲーム事業へシフトしたいまだからこそ、次の一手を考える必要があると考えていた。 木村取締役が続ける。