新型ホンダN-VAN e:は、新しい時代の働くクルマだった! 乗って分かった実力とは
ホンダの新しいNシリーズの軽バンEV(電気自動車)「N-VAN e:」に、小川フミオがひと足はやく乗った! 【写真を見る】新型N-VAN e:の内外装(19枚)ドーンと広い荷室がスゴい!
使い勝手バツグン!
ホンダがここから本格的にEVに乗りだすといわれる新型N-VAN e:。2024年6月に発表され、10月10日発売予定のこのクルマに24年8月下旬に試乗した。スムーズな走りが印象的なモデルだ。 N-VAN e:は軽商用をメインに、ガソリンエンジンモデル「N-VAN」をベースにしたピュアEV。商用はひとり乗りとふたり乗りの設定だ。 一方、キャンプやスポーツなどで出かけるひと向けに重用されそうなのが乗用車版、「e:L4」と「e:FUN」。本田技研工業の電動車事業開発本部の渡邊伸一郎は「自分はサーフィンが趣味なので、(同様の趣味をもつユーザーに)スムーズな走りのこのクルマは喜ばれると思います」と、話す。 気合いを入れて開発された軽バンEVのため、使い勝手は相当考えられている。例えば、低くてフラットな床面、広いテールゲート、高さ1365mmもある天井高、前後長2635mmに達するに荷室空間、更に、左側はピラーレスで前席用ドアとスライドドアを開けると1580mmの幅になる広大な開口部……と、いった具合。 一充電あたりの走行距離は245km(WLTC)。開発者によると、エアコンなどを使っての実走行距離は100km以上を確保しているそうで、「このクルマの使いかたを考えると、近場の移動が多いはずで、低床と低めの価格を考慮して、バッテリーサイズを決めていきました」とのこと。 「重要だと考えたのは、スムーズな走行マナーです。いきなり最大トルクが出せるのがEVですが、“どんっ”とトルクを出しては荷くずれを起こしかねない。それでは評価してもらえませんから、加減速ともに感覚に忠実に走れることを目指しました」(前出の渡邊) トランスミッションには、回生ブレーキが働く「Bモード」も用意されているが、効きは弱め。これも「運転しやすさを考えて、あえて弱めにしています」と、渡邊は話す。 ホンダでは、開発にあたって、異なる配達環境をもつ3カ所のヤマト運輸へ試験的にN-VAN e:を使ってもらったという。例えば、上りと下りの多い山がちな神戸では、前記のBモードの評価してもらったそうだ。 室内のデザインは、ガソリン版のN-VANとだいぶ異なっている。ホンダのSUVと共通したものを感じさせるクリーンなダッシュボードで、N-VAN e:にはボタン式のエレクトリックギヤセレクターが用意されている。 「物理的なギヤセレクターを排除したことで、ドライバー近くにセレクターを引き寄せることが出来たうえに、コンソールでセレクターの下の部分をえぐって、ドライバーがさっと助手席側に移れるようになっています」(担当者) N-VAN e:のインテリアは、縦リブを入れたパネルが目をひく。斬新な印象だが、デザイナーの意図は「移動蓄電コンテナ」なるコンセプトの視覚的表現にあるようだ。ベージュ系の内装も、汚れがつきにくい素材を使った、と、説明され、乗用として使う際に好ましい。