国産米の高騰で「外国産米」の人気高まる 「もっと流通させろ」の声に輸入商社が口を閉ざすワケ
国産米の高騰を背景に、安価な外国産が注目されている。スーパーでも米国産米や台湾産米などを見かけるようになった。令和の輸入米はどんな味わいなのか。ズバリ、おいしいのか。3種類の外国産米を食べ比べてみた。 【写真】話題の台湾産米を食べ比べてみると… * * * ■台湾産米の販売を始めた 米の価格高騰が続いている。農林水産省によると、10月末時点での新米の販売価格は、前年同時期と比べて約6割も上昇した。これまで安かった米ほど値上がり幅は大きく、約2倍になった米もある。 10月中旬、大手スーパー「西友」は台湾産米の販売を始めた。5キロ2797円。同社によると、発売直後から売れ行きは好調で、品薄になっている店舗が多いという。 台湾産米の販売はSNSでも話題になった。 「となりに置かれた『あきたこまち』(5キロ)より1000円も安くてビックリです」 「高値が解消されるまでこのお米で乗り切ろうと思います」 「さっそく、炊いて食べてみたら、若干甘味が少ない感じがしましたが、私はグルメでもお米マイスターでもないので、フツーにおいしくいただきました」 「台湾産米で十分だよ。もっと流通させろ!」 ■決め手は「ジャポニカ米」であること SNSのコメントは肯定的なものが多く、輸入米が敬遠された30年前の「平成の米騒動」と比べて隔世の感がある。1993年の記録的な冷夏、深刻な米不作から、政府はタイ米を緊急輸入した。タイ米は細長い形状の「インディカ米」で、炊きあがりに粘りがない。なじみの薄い米は敬遠され、在庫が倉庫に大量に積み上がった。 西友の担当者はこう話す。 「台湾産米を選んだ決め手は、国産米と同様『ジャポニカ米』であること。社内でさまざまな外国産米を食べ比べた結果、ふっくらした食感が国産米に非常に近いと判断しました」 ディスカウントストアやネット通販を中心に、米国産やベトナム産、豪州産などの米の販売も広まっている。 ■米国産「カルローズ」とは 会員制大型量販店「コストコ」は今夏、米国産のジャポニカ米「カルローズ」を販売した。5キロ1998円。円安にもかかわらず、台湾産米よりもさらに安い。 カルローズとは「カリフォルニアのバラ」に由来する愛称。かつて太平洋を渡った日系人が工夫を重ねて育ててきたブランドでもある。赤い花が描かれたパッケージは米国のスーパーではおなじみだ。昔、記者が米国に留学していたときも、毎日カルローズを食べていた。十分おいしく、不満を感じたことはなかった。