「敵国の言葉なぜ学ぶの?」逆境の中でロシア語専攻の道を選んだ学生に聞いてみた ウクライナ侵攻開始時には高校生、周囲から冷たい反応も
ロシアは隣国です。言葉を介してコミュニケーションを取れる人がいなくなるのは、日本にとってもロシアにとってもマイナスです。個人個人のコミュニケーションの力は大きく、この経験がない人は国と国との関係を全体に当てはめてしまいます。つまり政治の中で語られることが全てだと捉えてしまう。そうなると文化や民族の多様性がベールにように覆われてしまう怖さがあります。自らコミュニケーションできる言語手段を持つことは、隣国であれば特に重要なことです。 学生にはロシア語を使っていろいろな人とコミュニケーションしてほしいです。日ロの交流は隣国として重要ですが、国内にはロシア語話者のウクライナ避難民もおり、彼らもコミュニケーション手段としてロシア語を使っています。日ロ関係の再構築であったり、避難者支援であったりと、生かし方はいろいろあることを知ってほしい。ロシア語を使うことが、身の回りの「内の社会」、それから「外の社会」を良くしていく手段であることは疑いのないことです。それぞれの方法で取り組んでほしいです。
× × かねこ・ゆりこ 1973年、新潟県生まれ。神戸市外国語大ロシア学科卒。東京大で博士号(文学)取得。専門は現代ロシア語のアスペクト、動詞語形成など。2023年10月~2024年3月、NHKラジオ「まいにちロシア語」(応用編)の講師を務めた。