「敵国の言葉なぜ学ぶの?」逆境の中でロシア語専攻の道を選んだ学生に聞いてみた ウクライナ侵攻開始時には高校生、周囲から冷たい反応も
菊田 学校の先生や両親、祖父母に反対されることはなかったですが、大学入学後は他学科の人たちの視線が痛いですね。知人からも「(ロシアは)北方領土取ってるじゃん」「なんで敵国の言葉学ぶの」「学んで何になるの」と言われて悲しくなりました。ただ冷たい言葉をかけられても、自分で決めた道なのであまり気にしていません。同じ志を持った仲間の存在が学習のモチベーションになっています。 ―ロシアの魅力ってどこにあるんでしょう? 福田 ネーティブの先生が開いたお茶会に参加したことがあります。ロシア料理はピロシキしか知りませんでしたが、その時にブリヌイ(ロシア風クレープ)を出してくれて、とてもおいしかった。あとはバイカル湖です。写真で1回見たことがあるのですが、日本では考えられないくらい透明で深い。自然のスケールが違うと思いました。 菊田 怖そうに見えるロシア人ですが、甘い物が好きで、おちゃめで、かわいらしい面があるところです。有名な文豪を輩出したり、素晴らしいエルミタージュ美術館があったりと、芸術や文化の面で他国に秀でている点も魅力です。
土井 入学して最初の授業で学科の先生が授業でロシア民謡を流してくれました。自分でも音楽を探しているうちに、こんなに良い曲がいっぱいあったんだ、と気づきました。例えば「カチューシャ」とか。ロシア国歌もかっこいいと思うようになりました。 下野江 以前から好きな作曲家はロシア人がとても多かったです。ボロディンが一番好きですが、有名どころで言えばチャイコフスキーですね。言葉で表現するのが難しいですが、本当に深いので、良いなぁと。 ▽将来は…外交官や防衛省専門職、商社勤務、戦後復興支援も ―ウクライナ侵攻についてどう思いますか? 福田 戦争でウクライナ人は家族や領土を奪われたり、母国からの避難を余儀なくされたりして、傷ついていると思います。少なからずあっただろうロシアとの関わりも、完全に絶たれて…。非常に残念で悲しいです。日本では、ロシアは民間人を虐殺している怖い国、危ない国というイメージが強くなり、負の側面しかないと思います。