友人は将来年金を「月15万円」もらえるそうです。私は「月10万円」ほどの予定ですが、年収にどれくらい差があるのでしょうか?
国民年金を満額支払っていても、人によって受給できる年金額には差があります。もし友人と話をしたときに、年金受給額が大きく異なる場合、疑問に思う方もいるでしょう。 年金受給額は、国民年金だけでなく厚生年金保険の加入期間や収入によって決まります。受け取れる額が分かっていれば、おおよその年収を逆算することも可能です。 今回は、年金額から必要な給料の目安を求める方法や、月の受給額が15万円と10万円の方の差などについてご紹介します。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
年金額からおおよその給料を求める方法
年金額から給料を求めるには、年金の種類と受け取れる金額の求め方を知っておきましょう。 年金は主に老齢基礎年金と老齢厚生年金から構成されています。老齢基礎年金は国民年金保険料を満額支払っていれば、受給額は一律です。令和6年度の金額だと、満額で月に6万8000円、年額81万6000円になります。 一方、老齢厚生年金は厚生年金に加入している方が受け取れ、働いていた期間の収入に応じて受給額が変動する年金です。平成15年4月以降に厚生年金保険に加入した方の場合、受け取れる金額は報酬比例部分の「平均標準報酬額×0.005481×加入月数」で求められます。報酬比例部分は、老齢厚生年金の計算の基礎となる数値です。 平均標準報酬額とは、月給を基に一定基準ごとに区分した標準報酬月額と賞与を基に計算する標準賞与額を合計し、平均を求めたものです。つまり、老齢厚生年金額に対する平均標準報酬額が分かると、おおよその月収が分かります。 老齢厚生年金額からおおよその月収(平均標準報酬額)を求める式は以下の通りです。 ・平均標準報酬額=老齢厚生年金額÷(0.005481×加入月数) 老齢基礎年金額が同じでも、収入によって平均標準報酬額が変わるため、年金額に個人差が出るので注意が必要です。
年金月15万円と年金月10万円のときの給料の差
先ほどの計算式を基に、年金を月に15万円受け取れる年収と、月に10万円受け取れる年収を比較しましょう。条件は以下の通りです。 ●国民年金は満額支払っている ●厚生年金への加入は平成15年4月以降 ●厚生年金の加入期間は22~65歳 ●受給開始は65歳 ●報酬比例部分が老齢厚生年金の金額 ■年金月15万円 年金が月に15万円だと、年に180万円受け取る計算です。老齢基礎年金の年81万6000円を引いた98万4000円が、月に15万円受け取るために必要な老齢厚生年金額になります。 計算式に当てはめると「平均標準報酬額=98万4000÷(0.005481×516ヶ月)」となり、平均標準報酬額は約34万7925円です。月の平均なので、年額に換算すると約417万5100円が目安となります。 ■年金月10万円 年金が月10万円の場合は、年に120万円を受け取る計算です。老齢基礎年金額を120万円から引いた38万4000円が、月10万円を受け取るために必要な老齢厚生年金額になります。 平均標準報酬額の計算式に当てはめると「38万4000円÷(0.005481×516ヶ月)」となり、平均標準報酬額は約13万5776円です。年額に換算すると、約162万9300円が目安となります。 年金額が月15万円と比較すると、およそ254万5800円の差です。ただし、あくまでも目安なので、実際に年金を月15万円受け取る方と月10万円受け取る方の年収差は変動する可能性があります。 例えば、社会保険料は4~6月の収入を基にして9月に改定が行われます。4~6月の収入がほかの月よりも高い方の場合、同じ年収帯の方と比較して保険料と受け取れる年金額が高くなる場合があるでしょう。
年金月15万円と月10万円では目安の年収で約255万円の差がある
年金額は、一律で金額が決められている老齢基礎年金と、会社勤めの方が受け取れる老齢厚生年金の合計です。老齢厚生年金は、本人の収入により金額が変動するため、国民年金額が同じでも収入によって年金総額が変動します。 年収は、年金を月15万円受け取る方の目安は417万5100円ですが、月10万円受け取る方の目安は162万9312円であることが分かりました。もし、受け取るまでにまだ期間がある場合は年収をあげるなどして年金見込額を挙げるのも一つの手でしょう。 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー 監修:高橋庸夫 ファイナンシャル・プランナー
ファイナンシャルフィールド編集部