「ブラックホール」で“時が止まる”は本当なのか?何でも吸い込む“”天体のラスボス"「ブラックホール」の7つの不思議を東大宇宙博士が解説
ブラックホールの境界は、専門用語で「事象の地平線」といいます。この地平線の向こうでは、どんな出来事(事象)が起きているのかわからない、ということを意味しています。 ■時空がゆがみ、現在地で時の進みが変わる 【ブラックホールの「七不思議」③】時が止まる ブラックホールのまわりでは、空間だけではなく、時間もゆがんでいます。 じつは、時間の流れかたは場所によって異なります。ブラックホールのように重力が強いところにいると、時間の流れが「遅くなる」のです。
重力の「強い」場所→ 時間の流れかたが「遅く」なる 重力の「弱い」場所→ 時間の流れかたが「速く」なる ブラックホールに近づくと、自分の動きがカタツムリのように遅くなる、というわけではありません。ややこしい話ですが、ブラックホールの近くにいる人にとっても、時間は普通に過ぎていくように感じます。しかし、ブラックホールの「近くにいる人」と「遠くにいる人」で時計を比べると、経過した時間がズレてしまっているのです。
過ごした場所によって時間の進みかたがズレてしまうなんて、不思議すぎますよね。ブラックホールの場合、重力が強すぎるため時間のゆがみも強烈なのです。 ある人がうっかりブラックホールの境界に近づくと、「あっ」という間に吸い込まれて帰らぬ人となります……。しかし、ブラックホールから離れた場所にいる人がその様子を目撃すると、吸い込まれる人の「あっ」という瞬間は、「あーーーーーーー……」と永遠に長く感じるということになります。
「ブラックホールの境界を見ると、時が止まったように見える」のです。 ブラックホールに吸い込まれる人は、境界付近にピタッとはりついたように見えます。その人が穴に消えて行く結末を見届ける前に、見ている側の人が先に寿命を迎えてしまうでしょう。 つまり、「ブラックホールの境界を見ると、時が止まったように見える」のです。 ■成長過程が謎のLサイズブラックホール 【ブラックホールの「七不思議」④】S・M・Lサイズがあるが、Lはなぜ存在するのか不明