「ブラックホール」で“時が止まる”は本当なのか?何でも吸い込む“”天体のラスボス"「ブラックホール」の7つの不思議を東大宇宙博士が解説
銀河の中心にあるLサイズのブラックホールにガスが吸い込まれるときに、宇宙でいちばん明るい天体(「クエーサー」)となります。ブラックホールの大きさや、穴に落ちるガスの量によって、ブラックホール周辺の輝きかたは変わります。 ■放射性廃棄物を再利用する高度文明が存在? ブラックホールは発電効率がよく、少ない燃料で大きなエネルギーを取り出すことができます。 Lサイズでなくても、ブラックホールに物を落としてエネルギーを使いやすい形で取り出すテクニック(ペンローズ過程)もあります。
便利なことに、捨てるゴミは何でもOK。ブラックホールに放射性廃棄物を捨ててエネルギーを得る、という使いかたをすれば、ブラックホールは、環境問題とエネルギー問題を同時に解決できる優れモノとなります。 地球のそばにブラックホールを置いて利用できたら便利ですが、そんなことができるのは、人類よりもはるかに高度な技術をもつ宇宙人でしょう。 高度な文明であれば、ブラックホールの有効性に気づいているはず。ブラックホールの周辺を調べたら、宇宙人の都市がごろごろ発見されるかもしれませんよ。
【ブラックホールの「七不思議」⑥】何でも吐き出す「ホワイトホール」もある? 世の中のいろんなものに「表と裏」「光と影」があるように、ブラックホールにも反対の性質をもつ「ホワイトホール」がある、という仮説があります。 何でも吸い込むブラックホールに対し、ホワイトホールは何でも吐き出します。 おもしろいことに、「ブラックホールに吸い込まれた先に『ワームホール』という時空のトンネルがあり、奥に進むとホワイトホールにつながっていて、そこから外に吐き出される」という仮説もあります。
これが本当なら、果てしなく離れた2つの地点をワープできるということになりますね。 ホワイトホールやワームホールは「理論上はあり得る」というものです。しかし、残念ながら、ホワイトホールやワームホールの存在を示す観測事実は、いまのところ見つかっていません。 ですが、がっかりするのはまだ早いです。ブラックホールの存在が理論的に予言されたとき、「そんなものは実在するわけない」と信じられていませんでした。それがいまやブラックホールの存在は確かめられています。ホワイトホールやワームホールも、何年後かには、その存在が認められているかもしれません。