妊娠22週、493gの小さな小さな男の子。受け入れることも理解することもできないまま臨んだ出産。その命に向き合い続けた6カ月間の記録【体験談】
ともに子どもの成長を喜んでくれる存在
小さく生まれたために体の機能が未熟だった奏明くんは、入院中に未熟児網膜症や、慢性肺疾患、未熟児貧血、くる病、尿路感染症など、さまざまな病気にかかりました。それでも、体重の増減を繰り返しながら、奏明くんは少しずつ大きくなっていきました。 「生後45日目で、初めて保育器内で奏明を抱っこすることができました。抱っこといっても、保育器に入れた私の両手に、看護師さんが布にくるまれた赤ちゃんをのせてくれる感じです。まだ肌には触れられませんでしたが、それでも、わが子をこの手に抱くことができて幸せでした」(恵さん) 恵さんは、NICUの看護師さんたちが奏明くんの成長を一緒に喜んでくれることも励みになったと言います。 「初節句では、看護師さんがかぶととこいのぼりを作ってくれて、写真に撮ってくれました。100日のお食い初めのお祝いをしたくて看護師長さんに相談したときには、感染予防のためにNICUに持ち込んでいいものが限られているなか、『プラスチックや木製のおままごとセットの魚ならいいですよ』と許可してくれて、お祝いすることができました。 奏明の少しずつの成長を、こうして看護師さんたちが一緒になってお祝いしてくれることがすごくうれしかったです。『奏明とこんなことをしたい』という私の希望に応えようとしてくれることも、メンタルがぼろぼろだった私にとって、すごく心強く感じました」(恵さん) 奏明くんは、生後6カ月をNICUとGCU(回復治療室)で過ごし、ようやく退院できることになりました。恵さんは、出産前にフルタイムで勤務していた仕事をやめ、奏明くんの命に向き合う生活が始まりました。 お話・写真提供/小林恵さん 取材協力/板東あけみさん 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部 取材では涙を浮かべながらも、出産当時の状況を明るく冗談交じりに話してくれた恵さん。その明るさに、わが子の命の不安に向き合い、乗り越えてきた強さを感じました。次回の内容は奏明くんの成長の様子やリトルベビーサークルについてです。 「 #たまひよ家族を考える 」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。 ●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。 ●記事の内容は2024年5月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
たまひよ ONLINE編集部