ゴールドマンサックス元社員が暴露…エリートサラリーマンたちの凄まじい「ズルさ」と「選民意識」
ウォール街の一員であることに浮かれる同僚
でも、同僚の多くは、自分がウォール街の一員であることに浮かれていた。ある男性社員はハロウィンの日に、“99%”の人が抗議運動をしているなかを、“1%”と書かれた牛乳パックの仮装をして、肩をそびやかしながら歩いてきた【訳注:アメリカの富を1%の富裕層が独占しているという現状に抗議するため、「ウォール街を占拠せよ」運動では「私たちは99%だ」というスローガンが掲げられた】。 ビルに入ってくるまでにボコボコにされればよかったのに、と思ったが、トレーディング・デスクについた彼は、傷ひとつ負っていなかった。家に帰って着替えてこい、と彼に言えるような良識をもった人が人事部にいたのは幸いだったが、それもトレーディング・フロアにスタンディングオベーションで迎え入れられた後のことだった。 私は混乱していた。同僚よりも、抗議運動をしている人たちのほうに親近感を覚える。この業界をかばうこともできなかった――自分たちのビジネスには懐疑的だったし、嫌悪感すら抱くこともあった。けれど、私はその一員なのだ。それに、不安もあった。金融界は崩壊しつつあり、失業率は跳ね上がり、周りには家をなくした人が大勢いる。私の懐に入ってくるお金と、私だけが頼りのお腹の子どものことを考えると、怖くてここを辞めることはできなかった。 * 驚きの体験の数々……。「思わず体が震えた…ゴールドマンサックス研修初日で浴びた、エリートたちも衝撃の『洗礼』」もあわせてお読みください。
ジェイミー・フィオーレ・ヒギンズ(ゴールドマン・サックス 元マネージングディレクター)/多賀谷 正子(英語翻訳者)