レーシック手術って本当に安全なの?「安心して手術できる病院の見極め方」を専門家が伝授
メガネやコンタクトレンズから解放される画期的な手術として、一躍人気を集めたレーシック手術。だが、視力が戻ったという意見がある一方で、不調を訴える人もいる。
レーシック手術が開発されてから30年以上。今、どんな変化が起きているのか。誕生当時からレーシック手術に関わってきた深作眼科の深作秀春院長に聞いた。
レーシック手術って本当に安全なの?
――レーシック手術が一般的になったと思うのですが、不調があるという声もあって、本当に受けていいのか不安なのですが……。 まずレーシック手術というのは、1990年に考案された手術で、目の表面にある角膜をエキシマレーザーというレーザーで削って、角膜の形状を変えることで、視力を矯正する手術です。精度を上げるために何度も改良が重ねられているので、手術自体はとても安全なものです。 ただ、レーシックは保険適用じゃないんですね。そのため病院によって、値段はまちまちで、レーシックが一気に流行ったことで、利益追求型のクリニックも多くできてしまった。 ーーなるほど……。 分野の違う病院がレーシック専門クリニックを作ったり、技術のない医師が手術を行うようになって、網膜剥離や白内障などの合併症を起こしたり、角膜を傷つけたりと、トラブルが続出したんです。 さらに眼科専門医でないから、術後に問題があっても適切な処理ができなくて、患者さんが路頭に迷ったりして。こういう経緯があって、怪しげな手術というイメージがついてしまったのは、本当に残念です。 海外では眼科専門医以外はレーシック手術をできませんが、日本は医師免許さえ持っていれば、皮膚科医がレーシックをすることができてしまう特殊な環境にあるというのも問題でしょうね。
レーシックの欠点は「再手術がしづらい」こと!
――じゃあ、ちゃんとした眼科医を選べば大丈夫なんですね? はい。きちんとした医師のもとで行えば、悪い手術ではありません。とはいえ、レーシックには欠点もあります。それは角膜を一度削ってしまうと、元には戻せないということ、そして角膜を削ることで高次収差という歪みが出るということです。 レーシックが開発されて30年経って、当時手術を受けた患者さんもそれだけ歳をとって白内障世代になっています。白内障を治すための方法として、多焦点眼内レンズというレンズを目の中に移植する方法があるのですが、レーシックをした患者さんは角膜のカーブに歪みがあるので、正確に最適な眼内レンズ度数を測定することが困難なんです。 ーーなるほど……。 また角膜を削って薄くなっているので、角膜の歪みで測定する眼圧の測定値が常に低く出てしまう。つまり、高眼圧で起こる緑内障を見落とす恐れが高いのです。 旧式のエキシマレーザーを使用している場合、目に衝撃を加わり、網膜剥離を起こす例もあります。未熟な医師や医院で行うと、こういった合併症を見落とされることが多いというのも注意してください。 手術を受けるときは近視が治ればいいと思っていたけれど、歳をとると、加齢による他の疾患、白内障や緑内障、網膜剥離などが現れます。専門の眼外科医でないと、これらの併発症や合併症、他の目の病気の発見や手術施行が難しくなるのです。