阪神・ビーズリー 来日2年目の躍進の裏に“大和魂” 帽子をとって謝罪、日本の野球文化の受け入れ 甲子園へはマイカーで
阪神のジェレミー・ビーズリー投手(28)が外国人投手としてリーグトップタイの8勝を挙げて、来日2年目のシーズンを終えた。昨季より成績を大幅にアップできた裏側には、日本の環境や文化に順応する“大和魂”があった。 ◇ ◇ マウンドで繰り広げた異例の光景が、印象に残っている虎党も多いかもしれない。9月6日・ヤクルト戦(神宮)、ビーズリーは死球を当てた中村に対して、帽子を取って頭を下げた。外国人投手としては珍しい謝罪シーン。“虎の助っ投”が日本の野球文化を受け入れていることを、象徴するような一幕だった。 昨季の1勝2敗から、今季はコンディション不良による春先の出遅れがあった中で8勝3敗。先発ローテーションの欠かせない1ピースとなった。「アメリカでずっとやっていたことに固執せずに、日本の野球や文化をしっかり取り入れる気持ちだったことが、一番大きい要因だったと思うよ」。“大和魂”が来日2年目の躍進につながったと自己分析。「その気持ちが大きくて、自信を持ってプレーすることができたんだ」と今季を総括した。 米国と日本の野球の違いも、きっちり脳裏に焼き付ける。「日本の野球はどれだけベースにランナーを置いて、かえしていくか。そういうバッターに対して、ただ強いボールを投げる、ただいいボールを投げる、というのではダメ」。直球は最速150キロ超を誇る右腕。それでも力でねじ伏せる投球術が、必ずしも正解ではないことを自覚している。 投手ながら、打席との向き合い方も“日本流”で、シーズンを通してバント練習にも頻繁に取り組んだ。「もちろんその意味(日本野球への適応)もあるけど、自分自身を助けないといけないからね。毎日打席に立っても、7割は失敗してしまうんだから」。日本人のような勤勉さも、成功の礎となった。 激しいV争いを演じたシーズン終盤には、「必勝」と書かれた日の丸ハチマキを巻いて練習し、チームを鼓舞したビーズリー。グラウンドを離れても、郷に入っては郷に従う姿が目立った。豚骨ラーメンが大好物であることは、すっかりおなじみ。昨季はタクシー通勤だったが、今季は自らハンドルを握って、左側通行という日本の道路事情も把握し、甲子園へマイカーを走らせた。 休日には家族とのドライブでリフレッシュして、美しい景色に心を奪われることもあった。「六甲山から見た町並みは、すごくキレイだったね。山の上から海まで見えて」。日本を愛する助っ人はシーズンを終えて、残留を熱望しつつ帰国。来季も猛虎のために力強く腕を振ってくれると、チームメートもファンも固く信じている。(デイリースポーツ・丸尾匠)