吉田沙保里、伊調馨ら不在の女子レスリング界に起きている変化
複雑な組み合いを続ける時間が長くなると、そこにはケガをしやすくなるなどのリスクも生まれる。だが、いろいろな得意パターンを持つ選手が競い合うことで、試合展開のバリエーションもより複雑化し、観る者にとっても豪快で痛快な場面に遭遇できるチャンスが増えた。 質的な変化をみせる発展の途上にある女子レスリングのなかでも、50kg級という階級には、日本だけでも豊かな才能と可能性を持つ選手がそろっている。栄強化委員長はそれぞれの選手の特徴をこう評価している。 「入江はタックルもあるし、オールラウンダー。須崎は特徴として得点源になるタックルがあるのはいいんだけれど、もうちょっと柔軟性を持った技術展開をしていかないと。五十嵐は身体もまだ細いけれど、これからまだ伸びる。登坂は足さえ治せば、いま一番強いと思う。競い合って、この4人の、いや、まだ他の選手が伸びてくるかもしれないけれど、誰が出ても東京五輪で金メダルをとれるようにしたい」 2004年アテネ五輪前の女子レスリング日本代表選考会は、世界一になるより難しいと言われた。世代交代と女子レスリングが進化をすすめる途上にあって、2020年東京五輪の日本代表決定への道のりは、それ以来の激しさで行われることになりそうだ。 (文責・横森 綾/フリーライター)