梅毒の新規感染報告件数…神奈川は4年前の3倍超、10年前の7倍に達する恐れ
国立感染症研究所は12日、感染症発生動向調査(IDWR)速報データ第44週(10月28日~11月3日)を発表した。 若い女性が性感染症クリニックに押しかけるワケ 東京の夜の繁華街に異変が 梅毒の新規感染報告件数は新たに165件が加わり、年初からの累計数は1万2293件となった。現在の方式で統計を取り始めて以来、過去最多を記録した前年同期の累計数1万2679件に比べて、マイナス389件となった。 この数字は、第40週マイナス418件、第41週マイナス421件、第42週マイナス474件、第43週マイナス420件と推移している。この数字が前週より「悪化」は23都県、「変わらず」が9道県、「改善」が15県だった。 ちなみに第44週時点で過去最多の昨年を上回ったのは22都府県で、下回ったのは25道府県。上回った件数が目立つのは、神奈川、岡山など。下回りが顕著だったのは北海道、広島、大阪、福岡などだった。 性感染症の専門医で「プライベートケアクリニック東京」新宿院の尾上泰彦院長が言う。 「東京都は引き続き警戒が必要です。国立感染研の速報データでは東京都の第44週の累積件数は3132件で、昨年同期より32件増えています。東京都が独自集計した第44週は新規70件、年累計は3178件となっています。昨年第44週の東京都独自データでは年累計3136件でしたので42件上回っています」 なお、感染研の新規35件・年累計3132件と異なるのは、東京都の数字が保健所が報告を受理した件数に対して感染研の数字は医療機関が梅毒と診断した件数だから。 ちなみに東京都集計の第44週の梅毒の新規届出70件の内訳は、男性46件、女性24件。年代は10代2件、20代27件、30代18件、40代14件、50代7件、60代2件だった。推定感染経路は67件が性的感染(同性間10件、異性間50件、両性間7件、性別不明3件)、不明3件だった。 「気になるのは東京都に隣接する神奈川の感染動向です。前年同期比で108件も上回っているうえ、第43週時点で今年1月10日に公表された昨年の年累計件数の659件(暫定値)を越える660件が報告され、第44週では672件となっています。これは2020年の累計件数222件の3倍超です。このままいくと年内に700件を越え、10年前の7倍に達する可能性があります」 また、性行動の変化も気になると尾上医師は言う。 「東京都の情報で推定感染経路の中に、同性間や異性間以外に『両性間』が定着していることが気になります。これは性の多様化で感染リスクがより高くなっているのかもしれません。そのなかには集団的な性行為による感染が含まれているのかもしれません。注意が必要です」 なお、第44週で日本国内でエムポックス症の新たな感染者は報告されていない。