「人生100年時代」のマネープランをお手伝い 巨大金融グループ「三井住友トラスト・ホールディングス」トップが描く未来
―――社長になって一番大きな決断は? これまでも取引先との関係をしっかりと維持しながら「政策保有株式」の売却をやってきているんですが、最終的には「政策保有株式」をゼロにまでにもっていこうと、次元を変えた方針を出しました。狙いは、我々「資金・資産・資本」の好循環と言っているんですが、豊かな社会が次の時代に繋がっていくには、お金がしっかりと必要なところに回っていく必要があるんですね。いまで言うと、例えば脱炭素、カーボンニュートラルを実現していくのに必要なインフラや設備に社会全体が投資していく必要があるわけですから、そこにどう円滑に資金を回していくかということをグループ全体で考えています。
―――中学や高校での金融教育、大学との連携に力を入れているとか? 2022年度から高校で金融教育が義務化され、出張授業をしています。社会に出ると働いて収入を得ることは大事なんですけど、将来のために金銭面でも備えていく必要があるわけで金融教育は大切だと思います。大学に関しては、金融機関として国内初となる国立大学との共同出資会社を東北大学と設立しました。社会課題を解決していくうえで「ヒト、モノ、カネ」の循環がすごく大事になってきます。ヒトは人材、そしてモノは大学であれば知財でしょうか、それに加えて、お金の循環がすごく大事になってくると考えています。
幼稚園で娘が着るブラウスにアイロンをかけていたことも
―――お忙しい中でも、家庭で担当する家事があったそうですね? ワイシャツにアイロンを自分でかけていた時期が結構長くありました。子どもたちが幼稚園の頃に、幼稚園に着ていくブラウスとかにかけるんですけど。感謝されていたかは別として、その後、娘たちが私のワイシャツのアイロンをかけてくれていた時期がありました。 ―――穏やかな語り口ですが、腹が立ったりきつい口調で言ってしまったりすることは? それは、あります。腹が立つ時もありますし、きつい口調のこともあるんですけど、結局、感情の起伏が大きくなると自分自身が疲れてしまうので、その次に考えたり決めたりする必要のある時に少し後手に回ってしまうので、極力感情の起伏はないように努力しようと思ってやっています。自宅でもそうありたいと思っています(笑)。